風邪が原因の激症型心筋炎
ある日の木曜日、近所の50代の男性が風邪で来院しました。診察室に入った瞬間、驚きました。患者さんの影が異常に「薄〜い」のです。私が薄く見えるヒトは、残りの寿命が半年しかないと、私は体験しているのです。重症の病気が隠れているのだろうと思い、いろいろ質問をしました。
すると、患者さんは、微熱と喉の痛みと軽い咳だと訴えました。「?」このような一般的な風邪症状では、致死率の高い病気とは思えません。さらに細かく質問しました。すると、「そう言えば、胸が少し重い感じがする。」と答えました。『心筋梗塞か?』と思い、心電図を計らしてもらいました。すると、心筋梗塞の波形ではないのですが、見た事のない不整脈だったのです。
私は心臓の専門医ではありませんから、分からないので、地元の心臓の専門医を紹介しました。帰り際、ニコニコしながら「大丈夫ですよね?先生」と言われて「大丈夫……。」と言いました。
数日後、紹介した心臓の専門医から連絡がありました。木曜日に紹介した患者さんは、開業医レベルの医療施設では治療できないので、地元の日赤病院に当日入院したそうです。ところが重症になり、集中治療室ICUに入ったのです。そして、更に状態が悪化し、日赤病院でもコントロール出来なくなりました。仕方なく、高度の医療施設の別の病院に、日曜日に転院したのです。
そして転院した当日に患者さんは急死したのです。最終的に病名は「劇症型心筋炎」だったのです。その原因は風邪のウィルスなのです。そのウィルスの特定の名称は無いのです。劇症型心筋炎の治療法を調べると下記の如くです。
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心筋炎の中でも心臓の機能が極端にかつ急激に低下し、全身の循環が維持できなくなる場合を劇症型心筋炎と言います。強心剤、人工呼吸でも循環を維持できず、人工心肺装置を装着して心臓の回復を待つしかない場合もあります。風邪のような症状から突然心臓の機能が悪化し心停止にまで至る恐ろしい病気です。緊急での人工心肺装置として経皮的心肺補助装置(PCPS)を使用することが多くなります。数日から1週間程度で心臓の機能が回復することが多いのですが回復しない場合は左心人工補助装置あるいは両心人工補助装置を取り付けて、長期間心臓の回復を待つか心臓移植を待つかになる場合もあります。
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読んでお分かりのように、最新の人工心肺装置を使用して、心臓が自然回復するのをただ待っているだけです。病気の本質も考えない治療です。ある意味で医師として情けないです。・・・今回の新型コロナウィルス感染症と同じに思えます。重症化した肺炎の患者さんを人工心肺装置にかけて、・・・治らずに死にましたと言っているようなことです。劇症型心筋炎も新型肺炎も同じような系統のウィルスだったのでしょう。ただし新型コロナウィルスの方が感染力が強く拡散しやすいのでしょう。
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