イラストで医療を考えること
一般的に医療の世界では、言葉の概念だけで病気について説明しています。薬品などの化学物質や受容体レセプターなども概念だけです。しかし、概念だけでは、患者さんの治療が100%解決できません。その理由は、概念だけでは正確に病気のすべてが説明できないからです。人間は五感をフルに使って物事を考えなければなりません。
それを少しでも改善するためには、具体的なイメージで表現すれば良いのです。そのためにイラストなどを作成して具体化するのです。そうすると、考えもしなかった別の世界が見えて来るのです。視野の中に全てが見えるので、気が付かなかった事が認識できるのです。そこで新たな発見や概念を考え直すことができるのです。また、言葉(専門用語)の表現だけでは、読んだ人の理解がまちまちになるのは当然です。話しの中や文章の中にたくさんの専門用語が有ればあるほど、意味が漠然としてしまいます。逆に専門用語を使用する医師が間違って解釈していることもありますから、患者さんは一層理解できません。
例えば、PSA高値=前立腺癌と思い込んでいる医師が大勢います。しかし、PSAと前立腺癌の解説のイラストを見れば、癌だけでPSA値が上昇するとは思えません。PSAを貯蔵する前立腺組織の辺縁細胞の一部が前立腺癌細胞になると、その細胞の周囲からPSAが漏れ出てしまうのです。これを見れば、原因が前立腺癌だけだろうか?と思えます。排尿障害で圧力がかかれば、PSAは漏れ出ます。炎症が起きても、先天性にでも、過去に針生検を受けても、炎症があってもPSAは漏れ出るでしょう。
例えば、発生学的に膀胱と直腸の成長を観察すると、膀胱と直腸は、、ある意味で一卵性双生児なのです。ウンコをする時に腹圧で大便を出すのであって、直腸の力で出しているとは思えません。当然ですが、膀胱も腹圧でオシッコを出しているのです。ところが、一般の泌尿器科の医師は、膀胱の力でオシッコを出すと信じているのです。
このようにイラストを作成して、病気の概念を考え直すと、新たないろいろな事が判明するのです。自分が過去に学んできた事だけを信じていると、病気の本質が見えずに、助けなければならない患者さんを助けることが出来なくなってしまいます。
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