検査結果を100%信じないで……
今日のニュースによると、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎を巡り、厚生労働省は4日、新たに3人の感染が確認されたと発表した。いずれも一度はウイルス検査で陰性になったが、再検査で陽性に変わった。国内の感染者は無症状の4人も含めて計23人になった。
一般的に、感染者の検査の陽性率は100%ではありません。例えばインフルエンザ・ウィルスの検査の陽性率は、70%~80%です。つまり感染患者さんのうち、検査しても20%~30%の患者さんは陰性と誤診されるのです。すると、医師は「インフルエンザではなく風邪だから様子を見ましょう」と対応するのです。
過去にインフルエンザにかかった高齢者が、検査して陰性だったから様子を見ましょうと言われて、翌日に肺炎になって亡くなられました。結果はインフルエンザだったのです。また、風邪症状が出て病院に行ったが、インフルエンザ検査で陰性だったので「風邪」だと診断されたヒトがいました。その後1カ月ほど体調が優れなかった。「今年の風邪は治りが悪いですね?」と話されていました。それは明らかにインフルエンザにかかって全身にウィルスが充満したからです。検査を100%信じてはいけないのです。
風邪とインフルエンザの患者さんの臨床的印象の違いは、次のようです。
❶顔が無表情・・・インフルエンザ
❷関節痛・・・インフルエンザ
❸38℃以上の高熱・・・インフルエンザ
❹全身倦怠感・・・インフルエンザ
❺軟口蓋の炎症所見・・・インフルエンザ(2番目のイラスト)
❻咽頭後壁の炎症所見・・・風邪(3番目のイラスト)
医師として五感を使って診断します。でも患者さんによっては、インフルエンザと診断しても、検査をしないと信じてもらえないのです。……検査結果しか信じないバカな医師と同じです。
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コメント
高橋先生
ご無沙汰いたしました。一昨年、母が重い髄膜炎になった後の厄介な後遺症は1年余りかかって幸い回復してきました。先日念願だった、重症白内障のオペをまず片目ですが受けることができました。水晶体が茶色で岩のようとの事で1時間半近くかかって無事にレンズが入り、手術した方は0.01以下から何と0.6見えるようになりました。僕の裸眼より遥かに良いです・笑。月末は歯周病関係でまたちょっと入院で抜歯・骨の処置です。まだまだ少しでも元気で生きられるように頑張るんだと強気な87歳です。
インフルエンザ検査のお話、まさに私もそうです。この数年で2回罹ってしまいましたが、発熱~これはインフルだなと思っても、毎回60時間近く経たないと陽性になりませんでした。突然38度以上、強い倦怠感関節痛などどう見ても風邪の筈はないのですが、駆け込んだ一見老練そうな医師は問診結果無視「症状はそうでもホラ、陰性でしょ」。ああダメ医者にやられたかと思いながら、療養中の母にうつしてはマズイので良さそうな医師をまた探して相談、再度検査して頂けたらやはり陽性になりました。
その医師は「疑わしいのに陰性しか出ない時、家族にうつさない目的など事情があれば、リレンザなどの半分量を予防的処方」という方法があると教えて下さいました。翌年からは、この季節は混んだ公共交通は極力使わず、歩くかタクシーを使うようにしたところ、風邪もひかずに過ごしております。
【回答】
検査だけを信じて、自分の目の前の患者さんを診ないワンパターンの医師が多いのです。
自らの責任を取らないで、検査だけに責任を取らせているようなものです。
投稿: 金沢のY | 2020/02/07 14:45