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エコー所見のチェックリスト

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 泌尿器科の一般的医師は、下部尿路症の検査でエコー検査を行います。しかし、前立腺の大きさ、結石の有無程度しか観察しないので、患者さんの病気の本質が見抜けないのです。その影響で、全国から病気が治らない患者さんが来院されます。私は34才で大学病院を辞め、救急病院に務めました。それから33年間エコー検査を毎日のように実施していました。約3万人を超える患者さんのエコー検査で、詳細に判明した事がたくさんあります。ここで、主に排尿機能障害を示唆する所見のリストをご紹介致します。(*イラストは正常の側面像所見です。)

 

膀胱排尿筋の変形・走行異常: 
エコー側面像の膀胱排尿筋(膀胱縦走筋)の走行は、膀胱出口に向かっているのが正常です。しかし肛門側に向いていたり、先端が凸凹な塊になっているのは、排尿障害による膀胱排尿筋の異常所見です。

膀胱三角部の肥厚(膀胱排尿筋の先端との距離): 
膀胱排尿筋の上層が膀胱三角部になります。正常であれば、平らで薄いのですが、排尿障害が続くと次第に厚くなったり台形になるのです。

前立腺結石・傍尿道結石: 
排尿障害のために、尿道内はジェット尿流になります。その結果、ベルヌーイの法則で尿道粘膜が破壊されて尿道粘膜に石灰が沈着します。それが徐々に粘膜下に埋没して、性別に無関係に前立腺結石や傍尿道結石になるのです。

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膀胱括約筋12時の存在: 

エコー所見の側面像では、正常の場合、膀胱括約筋は見えないのですが、排尿障害が強くなると膀胱括約筋が肥大したために、左右の膀胱括約筋が融合して、側面像でも見えるようになるのです。(*2枚目のイラストは、程度の軽い排尿障害の所見です。ほ膀胱括約筋が確認できます。)

膀胱出口周囲の静脈瘤: 
膀胱括約筋が肥大すると、膀胱頸部周囲の静脈が鬱血(うっ血)するので、静脈が拡張して静脈瘤として確認できます。静脈瘤の確認は、膀胱括約筋の肥大を意味します。漢方で言う瘀血(おけつ)状態と診断されて桂枝茯苓丸を処方されるのです。桂枝茯苓丸は排尿障害を改善する作用はありませんから、患者さんは治りません。


膀胱出口の硬化像: 
排尿障害があり、膀胱出口が十分に開かないで排尿するために、膀胱出口がブルブル振動します。その結果、生体反応として膀胱出口が硬く変化して鳥の口バシのように変形するのです。

膀胱三角部粘膜の硬化像: 
前述の膀胱出口の硬化像と同じ理由で、膀胱三角部の粘膜が硬く変化するのです。

Bns24244m41ipp写真】は陰部の痒みで来院された31歳の男性患者さんのエコー検査所見です。当院にお越しになるまでに、3軒の泌尿器科を受診しましたが、どこに行っても「気のせい」としか診断されませんでした。前立腺の大きさは17㏄と正常ですが、膀胱括約筋が見え、膀胱排尿筋の走行異常、膀胱三角部の粘膜硬化像、前立腺結石が認められます。そこでα1ブロッカーを処方したところ、陰部の痒みは消えました。

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前立腺肥大症30cc以上(男性のみ): 
前立腺の正常は20CC前後です。排尿障害が原因で、次第に大きくなるのです。ところが、前立腺肥大症があるから排尿障害となると、一般の泌尿器科医師は思い込んでいるのです。そのため、前立腺が大きくないと、排尿障害が原因ではなく、過活動膀胱、慢性前立腺炎や神経因性膀胱と表面的な原因不明の病名に診断されるのです。女性の場合は、前立腺が当然ありませんから、過活動膀胱や間質性膀胱炎、神経因性膀胱と診断されるのです。(*3枚目のイラストは、程度の重い排尿障害の所見です。)h

膀胱出口の膀胱内への突出: 
男女に関係なく排尿障害があると、膀胱出口が膀胱内に突出するのです。男性の場合は前立腺中葉肥大と診断されます。しかし、女性の場合は診断名がありません。本質的には、膀胱三角部の肥大と、それを後押しする膀胱括約筋の肥大、男性の場合は、前立腺の肥大が後押しするのです。

膀胱粘膜の肥厚・肉柱形成: 
排尿障害があると、排尿の際に膀胱内圧が高くなります。すると、膀胱粘膜下の膀胱輪状筋がある場所は、抵抗しますが、輪状筋のない場所が凹んでしまいます。そのため膀胱粘膜が凸凹になり、肉柱形成と診断されるのです。


膀胱結石: 
排尿障害があると、膀胱出口が十分に開かないので、小さい尿路結石が膀胱から出ることができません。すると、膀胱内の小結石が次第に大きくなって膀胱結石になるのです。バカな医師は膀胱結石のみを砕き治療し、排尿障害を治さないまま放置するので、その後に何回も膀胱結石が再発するのです。

膀胱憩室: 
肉柱の形成と同じで、排尿障害のために膀胱内圧が高くなります。ところが、膀胱輪状筋の均一性がないと、膀胱碧の弱い部分、つまり輪状筋同士の感覚が空いてい部分るのだけに圧力がかかります。そのため脆弱部分が袋状に膨らみ、ますます袋に圧力がかかるので、膀胱憩室になるのです。一般的に先天性と誤解されて、治療手術は憩室のみを切除されるのですが、再発する可能性があります。本質的には排尿障害の治療も同時に行わなければなりません。

Bsphbph 【写真】は、頻尿とオシッコの出が悪くて来院された65歳の男性のエコー所見です。前立腺の大きさは58㏄と明らかに前立腺肥大症です。さらに中葉肥大で膀胱出口が膀胱内に突出して、膀胱三角部も突き上げられています。膀胱括約筋も明確に見え、静脈瘤も確認できます。膀胱排尿筋は膀胱出口から極端に手前に引っ込み、さらに変形しています。前立腺結石も認められます。かなりの排尿機能障害を示唆します。実はこの患者さんは、排尿障害のためにPSA値が高くなり、かわいそうにも針生検をされでしまったのです。結果は異常なしでした。治療としてα1ブロッカーとβ3作動薬とプロスタールを処方したところ、頻尿は改善し、オシッコの出も良くなりました。

00802cb15d9b428c9b86697a7da1c75c  以上の項目が3つ以上あれば、排尿機能障害が有りと判定するのです。下部尿路症(慢性前立腺炎・過活動膀胱・間質性膀胱炎・膀胱疼痛症・前立腺肥大症)の患者さんを診察する際には、必ず医師がご自分でエコー検査検査をすべきです。泌尿器科の医師ではないエコー検査専門の医師に任せては、病気の本質を見ることは出来ません。

F597c6b36c204c248e428a2fa8f7747b 検査の専門医師は、画像を見ているだけで、病気の本質を知らないからです。呼吸器科の内科医師が、自らが聴診器を当てないで、聴診器検査の専門医に依頼しているのと同じです。

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コメント

高橋先生
明けましておめでとうございます。(少し遅くなりましたが)
昨年は大変お世話になりました。丁度、術後2カ月程度となりました。
術後1カ月頃、かかりつけの泌尿器先生への受診があり、手術をした事をお伝えしました。膀胱頚部硬化症の初見の写真、バー イン ザ スカイを見られて、硬化症とは、自分はわからないと正直におっしゃっていました。先生のブログにも正常な膀胱頚部出口の写真は少ないとのことでしたが、一部記載されていたように記憶しますが、なかなか正常の方や硬化症の方を多く意識して見ないと理解し難いものかとも思いました。また、術前にエコー所見で膀胱三角部の肥大、硬化しているところが高エコーとして見えて、術後、消失している所を見られて、この様に所見として現れるのか、といった事をおっしゃっていました。その泌尿器科の先生は興味が湧いたようで、先生のお名前を確認されていました。ブログの存在もお伝えしました。最近の先生のブログに改めて、各疾患の見方、考え方を記載されているの見てもらえたら良いのになあ、と思うこの頃です。
ところで、私の膀胱頚部硬化症の方ですが、2カ月現在、少々鈍痛が出てくることが多いのですが、アセトアミノフェンで痛みが低下する印象です。これは術後の傷としての痛み、侵害受容性疼痛の方でしょうか?
また、排尿時間がやや長くなって来ており、手術直後の排尿の勢いがやや低下して来ている印象です。これは再狭窄でしょうか?ご教授よろしくお願い申し上げます。
【回答】
手術後の落ち着くまで3ヶ月から半年ほどかかりますから、そのまま様子を見てください。
また、術後の再狭窄や瘢痕化を防ぐために、ケロイド治療薬のリザベンの服用をお勧めします。
お大事に。

投稿: Yo | 2020/01/11 14:58

ご無沙汰してます。昨年11月12日に膀胱頸部硬化症の手術をして頂いた神戸の者です。その節は大変お世話になりました。術後6ヶ月を少し過ぎたので術後の状況報告とご相談をさせていただきます。術後の再狭窄予防にリザベンを術後2ヶ月目辺りから開始しました。現在は尿の勢いは術前と同じ程度と感じています。再狭窄かと感じています。右陰嚢部の関連痛は日によって違いますが、自制内ですが、意識する事が多いです。ニコウェーブは週1回継続しております。これは割と関連痛が緩和されます。
ご相談ですが、再手術の事です。私の場合、斜め袈裟型に膀胱頸部に切開をしていたと思いますが、膀胱頸部を観音扉の様な両側を切開手術して頂いてリザベンを継続するという方法で再狭窄を予防し、尿の出を良くして、関連痛に対して膀胱三角部も蒸散して頂きましたが、さらに切開する等の対応して頂くのはいかがでしょうか。術後6ヶ月ですので、1年程度経過した辺りで再度考えた方が良いでしょうか。ご教示よろしくお願いします。
【回答】
半年経過すれば、手術は可能です。」

ところで、車の事故が先生の近所であった様ですね。馬込ってニュースで言ってたんで確認したら、ほんと近くだったんで驚きました。被害者の方の名前も先生と同姓でしたので心配しておりました。
【回答】
私とは無関係です。」

また、話しが変わりますが、昨年の手術の時、義理の母が膵臓癌でしたが、9月中旬に撮った写真を見て頂き、6ヶ月後は大丈夫かどうかをご相談した際、先生は「大丈夫かな」とおっしゃっていましたが、なんと4月下旬に亡くなりました。写真から7ヶ月後でしたので、先生の予知の精度の高さに驚いております。
それでは、よろしくお願いします。

投稿: YO | 2020/05/26 10:58

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