« 夜間多尿の理由 | トップページ | 新型コロナウィルスの状況 コロナウィルス#3 »

ウィルスによる肺炎 コロナウィルス#2

58561730d43b434ab7457879309867c0

中国の新型コロナウィルスによる肺炎が拡散しています。感染者が5,300人を超え、死亡者は131人にもなりました。昔に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の新型です。昔のSARSにしろ、ウィルスが直接肺炎を作るというのは疑問です。

例えば、風邪のウィルスやインフルエンザのウィルスで感染しても、たまに肺炎になる患者さんがおられます。全員が肺炎になる訳ではありません。感染しても、微熱だけで治る人もいれば、高熱で体調が悪くなり、さらに肺炎になる人もいます。では、どうして色々なパターンがあるのでしょう。一般の医師が思いつく事は、感染した人の免疫の弱さが悪性度を高めているのだと考えるのです。

ところが、この現象は、もっと複雑な理由があるのです。ウィルス感染に対する免疫は、免疫抗体が関与する液性免疫です。免疫抗体を産生するためには、体は微熱で維持させます。細菌感染に対する免疫は、白血球の主役の細胞性免疫なのです。この細胞性免疫を促進させるためには、高熱が必要なのです。

Colona_20200128173701 ウィルス感染では、免疫抗体の液性免疫だけだと思われるでしょう?実際は、細胞性免疫の白血球も関与しているのです。これには訳があるのです。ウィルス感染しても、対応する免疫抗体が直ぐに作られる訳ではありません。体としては、免疫抗体ができるまでの3日〜5日のタイムラグをジッと我慢する訳がありません。ウィルスに攻撃力のない白血球が、ウィルス感染した場所に仕方なく集合して、無理やり炎症を作るのです。

すると、炎症を起こした現場には、血管がたくさん増生されるのです。タイムラグで遅れて産生された免疫抗体が、後から現場に集中しやすくなるのです。白血球が過剰に興奮し炎症がさらにひどくなります。また、白血球が反応するのはウィルスではなく、肺や気管支に存在する細菌である常在菌に反応するのです。常在菌は攻撃されても反発力がありませんから、細胞分裂をして増えるしかありません。 結果として肺炎になるのです。

おそらく日本では、中国ほどの感染者は多く出ないでしょう。理由は、中国人は大声で会話するからです。当然、呼気のウィルスが広範囲に拡散します。日本人の会話は声が小さいので、呼気の拡散範囲は狭くなるからです。

治療としては、コロナウィルスに対する治療薬がありませんから、白血球の興奮を抑えるために、抗生剤や抗菌剤を処方します。また、白血球の過剰な興奮を抑えるために、免疫抑制剤であるステロイド注射を行なうのもひとつの手段です。「ウィルス感染は抗生剤は効かないから処方しない!」と単純に考えてはいけません。

 

|

« 夜間多尿の理由 | トップページ | 新型コロナウィルスの状況 コロナウィルス#3 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 夜間多尿の理由 | トップページ | 新型コロナウィルスの状況 コロナウィルス#3 »