膀胱水圧拡張術の弊害理由
「間質性膀胱炎」の患者さんの多くが、膀胱水圧拡張術という治療を受けています。しかし、効果の出る患者は、平均で7ヶ月しか持ちません。また、効果の出ない患者さんもおられます。
先日、当院に来院して治療を受けた患者さんは、いくつかの病院で4回もの膀胱水圧拡張術を受けたのですが、症状がどんどんひどくなり、毎日の排尿が40回の頻尿で、夜間頻尿が5回で眠れなく苦しんでおられました。
膀胱水圧拡張術がどうして効かないのか、ここで解説致します。
その原因の一つとして、間質性膀胱炎の発症理由を追求しないからです。膀胱を無理やり膨らませるので、ますます膀胱が痛むのです。ある原因で膀胱が次第に萎縮して過敏になります。膀胱容量がてとも小さくなり、極端な頻尿と痛みになるのです。尿が100㎖以下でも強い尿意と切迫感を感じて何回も何回もトイレに行くのです。一見小さくなったと思われる膀胱を無理やり膨らませ、膀胱の壁にたくさんの亀裂が入ります。亀裂ができれば、生体反応で治そうとします。その傷がきれいに治るとは限りません。瘢痕化して膀胱はさらに萎縮して、病状が悪化するのです。
無理やり膨らませる理由が、膀胱壁の中の神経を破壊して、膀胱の感覚を抑えようとしているのです。実は、そこが一番の誤解なのです。膀胱壁の神経は、膀胱を収縮させるための神経なのです。尿意を感じる神経ではないのです。ですから、水圧拡張術を行われた膀胱は、傷だらけになって、最終的には瘢痕化して、膀胱は硬く膨らまなくなります。そして膀胱内圧は高くなり、さらに尿意は強くなってしまいます。
膀胱の感覚=尿意は、膀胱の一部にしかないのです。それが膀胱三角部なのです。膀胱三角部は、膀胱とは別の組織でできています。その組織が尿管なのです。当然として、膀胱の神経支配と異なります。ですから、膀胱の神経を破壊しても尿意は改善しないのです。
また、膀胱三角部は膀胱の中で壁が一番厚い場所なのです。水圧拡張術で膀胱を無理やり膨らませても、膀胱の弱い部分だけが膨らみ破壊されて、膀胱三角部はびくともしないのです。ですから、膀胱に伸縮性が低下し内圧が高くなるので、膀胱三角部はさらに過敏になるのです。
間質性膀胱炎の原因は、原因不明の免疫疾患ではなく、排尿機能障害が膀胱に負担をかけ、さらに膀胱三角部がその影響で過敏になるから、頻尿や痛み症状が出来上がるのです。ですから、根本的治療は、排尿障害の治療と膀胱三角部の過敏さを抑えればいいのです。
排尿障害は、膀胱出口の膀胱括約筋の過緊張が原因です。その過緊張を鎮めるために、α1-ブロッカーを処方するのです。一番オススメがユリーフ・シロドシンです。その膀胱括約筋の影響で、膀胱三角部にも負担がかり、膀胱三角部が過敏になるのです。その治療のために、β3作動薬のべオーバ・ベタニスを処方します。
病気の原因を追及しないで、表面的な現象=膀胱の萎縮だけに興味を持ち、水圧拡張術を行うから、患者さんが苦しむのです。
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