AI医療の盲点
将来はAI医療が広く普及するだろうと言われています。AI医療に依存すれば!誤診することもないと思われているのです。
しかしながら、AI医療も人間が作成したソフトウエアです。適確な検査と適確な知識情報があれば、まったく問題はありません。しかし、そのソフトウエアを作成した人間が勘違いや誤解をしているのであれば、たとえAIであっても、誤診をします。
誤診の原因は、病気だけを見て、患者さんを見ていないからです。患者さんの訴える症状から思いつく病名を列挙し、それを区別するための検査を行い、病気を選択するだけの診療です。
ところが、教科書や参考書だけの情報て作成したソフトウエアでは、誤診される患者さんはたくさん生じます。例えば、私の分野の泌尿器科では、オシッコが近くて頻尿で尿意切迫感のある患者さんを、血液検査や尿検査で異常がなく、内視鏡検査でも異常がないと、過活動膀胱と診断されて、過活動膀胱のクスリだけを処方されてしまうのです。原因を治さないので、症状かなかなか治らない難治生過活動膀胱と、さらに原因不明と診断されてしまうのです。
患者さんが自覚しない軽微な排尿機能障害が、患者さんによっては脊髄神経回路が過敏になり、頻尿や尿意切迫感や切迫性尿失禁の過活動膀胱の症状になるのです。一般の医師は軽微な排尿機能障害は『問題なし』と判断してしまうのです。結果、原因不明の過活動膀胱と診断されるのです。こ常識をベースにしてAI医療のソフトウェアを作成する訳ですから、過活動膀胱の患者さんは、みんな原因不明と診断されてしまうのです。
PSA検査の結果が高いと、即、針生検するのが常識です。そのために、前立腺ガンの患者さんがうなぎ上りに増え、それと同じに前立腺ガンで亡くなる方も増えているのです。PSAの値は、排尿障害・前立腺肥大症・膀胱頸部硬化症・慢性前立腺炎・先天性PSA漏出などでも高くなるのです。また、隠れたラテント癌は、かなりの確率(30%〜60%)で存在しますが、そのままにしていれば、命には影響しないガンなのです。しかし、針生検て刺激して、さらにホルモン治療することで、前立腺ガンは目が覚め悪性化して、命にかかわる悪性度の高いガンに変身してしまうのです。
PSA値が高い→前立腺ガンの疑い→針生検という常識をAIソフトウエアに組み込めば、前立腺ガンで苦しむ人を増やすだけです。
泌尿器科だけでも、ご覧のよう通りいくつもの誤診や弊害があります。全ての診療科を考えれば、まだまだたくさんの間違った常識があるでしょう。そのためにも慎重で綿密なソフトウエア作成をAI診療に望みます。
| 固定リンク
コメント