免疫の盲点
病気になった人が、治るために免疫を高めようとします。そこには気をつけなければならないことがあります。
免疫には、いろいろあります。免疫抗体が関与する液性免疫、白血球が関与する細胞性免疫が代表です。ウイルス感染症、例えば風邪やインフルエンザなどでは、免疫抗体が主役です。バイ菌が原因の感染症、例えば肺炎双球菌や髄膜炎菌などには、白血球が主役です。
ところが、免疫が正常であってもやっつけることの出来ないウイルスやバイ菌は存在します。例えば、肝炎ウイルスや帯状疱疹ウイルス、性器ウイルス、クラミジア、梅毒、水虫、カンジダ菌などは感染して、免疫抗体が高くなっても、まったく殺菌,殺ウイルス効果は得られないのです。ですから、免疫機能が高くても治せない病気はいくらでもあるのです。免疫機能は、万能ではないのです。
また免疫機能が低下したから、ガンが生まれると思われていますが、それは間違いです。ガン細胞は、もともとは、その人の細胞から生まれた突然変異の細胞です。細胞の中身は異常ですが、表面の外観上は正常と同じです。ですから、免疫機能が異常とは認知しにくいのです。にもかかわらず、ガン治療に免疫治療が存在しますが、その効果は???です。
もしも、ガン細胞を免疫治療で気が付かせるためには、細胞の表面に多少の変化やケガをさせて、免疫システムが『処理しなければならない』と認知させればいいのです。そのために、抗ガン剤やホルモン剤で治療するのですが、正規な投与量でガンを攻撃すると、ガン細胞の方も対策を立てて、悪性度が増して抗ガン剤が効かなくなるのです。ですから、治療としては、微量のお薬を投与してガン細胞すべてを殺すのではなく、部分的にケガをさせて、免疫機能に気付かせればいいのです。
高齢者でインフルエンザにかかって肺炎でお亡くなりになる方がおいでです。一般的に免疫力が低いからと思われています。しかし、それは間違いです。インフルエンザにかかれば、若い人でも具合が悪くなりますよね?高齢者も同じです。では、どうして肺炎にかかってしまうのでましょう。実は免高齢者は体力が低下しているので、疫力、特に細胞性免疫が高まっているからです。インフルエンザに感染すると、液性免疫である免疫抗体が出来上がるまで、3日から5日かかるのです。その間を待っていられない細胞性免疫である白血球が、肺の常在菌である肺炎双球菌に過剰に攻撃をかけるのです。肺炎双球菌は対抗処置として、細胞分裂で数を増やします。白血球がそれに反応して、さらに炎症がひどくなり、肺炎になってしまうのです。そのために、高齢者がインフルエンザにかかった場合は、インフルエンザの治療薬の他に、抗生剤を少量・短期間服用してもらえば、常在菌が減り白血球も興奮しなくなります。
風邪やインフルエンザは、ウイルスが原因だがら、抗生剤は無効だと単純に思い込んでいる医師が多いのです。病気のメカニズムを詳細に考えないで治療するので、肺炎や髄膜炎になってしまう犠牲者がいるのです。
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