下部尿路症と症状
下部尿路症((LUTS)にはいくつもの病気があります。間質性膀胱炎、前立腺肥大症、過活動膀胱、慢性前立腺炎、膀胱疼痛、慢性骨盤疼痛症候群、心因性頻尿、神経因性膀胱などです。原因が一見別々のような病名ですが、実はすべて同じ原因だと私は信じています。
まずは、下部尿路症の症状を列挙すると、頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁、夜間頻尿、腹圧性尿失禁、痛みなどです。病名と症状をイラストに表示しました。葉っぱを見るのではなく、林や森を見るようにしてみると、何となく見えてくるものがあります。病名が違うだけで、症状が重なるものが多いのです。すべてが膀胱の症状なのです。その膀胱に負担のかかる原因は、オシッコの出が悪い=排尿障害なのです。
ただし、病気で苦しんでいる患者さんのほとんどが、排尿障害を自覚していないのです。患者さんを診察する医師が、患者さんから排尿障害の訴えが無ければ、調べようともしないのです。排尿障害と言えば、尿閉のように一滴もオシッコが出ない、あるいは出たとしてもポタポタ程度だっと思っているのでしょう。そんな完璧な排尿障害でなくても、身体の方は、特に膀胱は苦しんでいるのです。その状態が長期間続くと、身体は黙ってはいません。それが、下部尿路症のさまざまな症状になり、無知な医師が別々の病名を付けるのです。病名が違っても病気の本質は同じなのです。
治療としては、患者さん本人の自覚しない『排尿障害』を見つけて治せば良いのです。排尿障害と症状は、膀胱出口の膀胱括約筋と膀胱三角部が作っているので、その両者を治療することになります。膀胱括約筋の受容体の主役がα1受容体です。膀胱三角部の受容体の主役がβ3受容体です。イメージは、
★膀胱括約筋:α1受容体+β3受容体
★膀胱三角部:β3受容体+α1受容体+ムスカリン受容体
ただ、患者さんによっては、受容体の配分・分布が多少違うので、それを考慮して、患者さんの経過を見ながら臨機応変に対応して治療しなければなりません。そのため、α1ブロッカーだけで症状が軽快する人もいれば、α1ブロッカー・β3作動薬・抗コリン剤の3種類を服用してもらわないと効果の出ない人もいます。また人によっては、医学的に知られてはいない、別の受容体もあるかもしれません。例えば、カボチャの種・イソフラボン・ノコギリヤシなどのサプリメントや正露丸・タガメットなど別の治療薬の作用する受容体などです。
| 固定リンク
コメント