間質性膀胱炎でわかる事
原因不明で難病にもされているのが、間質性膀胱炎です。間質性膀胱炎の症状は、❶頻尿、❷尿意切迫感、❸下腹部の痛み、❹陰部・尿道口の痛みです。具体的に解説しましょう。
❶頻尿:
オシッコの回数が非常に多くて、1日に20回〜30回(当院で多かったのは、40回、60回、83回でした)がザラです。過活動膀胱と診断される人は、一般的に1日に10回〜20回前後です。尿検査では、白血球や細菌感染はないので、やはり膀胱出口=膀胱括約筋+膀胱三角部の過敏さが頻尿を作っているのです。
❷尿意切迫感:
オシッコが終わっても、残尿感は普通ないのですが、5分以内に再び尿意を感じてオシッコをしたくなる=尿意切迫感が出てくるのです。このため、何度もトイレに行くようになるのです。膀胱出口の平滑筋が深部まで過敏だと想像できます。急性膀胱炎の場合は、排尿直後に膀胱壁が膀胱出口に接触するので残尿感を感じ、数分後に尿が溜まりだすと接触がなくなるので、残尿感が消えるのです。ところが、かなり深くまで平滑筋が過敏になると、尿が少しでも溜まると、すぐに尿意が出てしまうのでしょう。
❸下腹部の痛み:
間質性膀胱炎の患者さんは、尿が溜まると尿意の他に、下腹部の痛みを感じます。患者さんは痛み=尿意切迫感と考えてトイレに行くのです。生理学的に考えれば、膀胱という袋の臓器がパンパンに膨らめば、本来なれば痛みになってもおかしくはありません。でも、いちいちオシッコのたび毎に膀胱を痛がってはオシッコをしないように水を飲まなくなってしまうでしょう。そうはならないように、尿がパンパンに溜まったら、脊髄神経回路を介して脳中枢では、尿意→尿意切迫感に置き換えているのです。しかし、膀胱出口が非常に過敏になると、脊髄神経回路内の情報が多すぎて、尿意の神経ルートだけでは伝達出来なくなるのです。そこで、大雑把な下腹部の痛み神経ルートに尿意情報が漏れ出てしまうので、下腹部の痛みになるのです。
❹陰部・尿道の出口の痛み:
頻尿症状ではなく、痛み症状の患者さんも結構おられます。痛み=炎症と考えて尿検査をしますが、白血球や細菌感染は確認できないので、膀胱頚部の粘膜下の間質組織が、原因不明の炎症があるから痛いのだとされています。それ以上の原因を追究しないのです。科学者=医学者とは思えませんよね? 病理学の教科書の「炎症」の定義は、「生物学的、化学的、物理学的刺激による生体の反応を炎症という」とされているのです。ところが、一般の医師は炎症=生物学的刺激=細菌感染・ウィルス感染・免疫反応だと勘違いしているのです。例えば、排尿障害があると膀胱に負荷がかかる=物理的刺激になりますから、炎症が起きるのです。さらに、痛み=炎症とは限りません。なぜならば、症状の発言のためには、脊髄神経回路が関与しているからです。隠れた頻尿情報が脊髄神経回路を介して痛み症状に変換されていると考えられるのです。
★点状出血
間質性膀胱炎の内視鏡(膀胱鏡)所見では、膀胱粘膜の点状出血と潰瘍があります。膀胱を膨らませると点々と出血点が見え、さらに膨らませると、五月雨(さみだれ)状に膀胱粘膜から血液がポタポタ降り注ぐのです。急性膀胱炎の場合は、膀胱が収縮した最後に血液が絞られて滲み出るのですが、間質性膀胱炎の場合は、その逆で、膀胱が膨らむと血液が出て来るのです。これには出血の原因に違いがあるのです。
急性膀胱炎では、毛細血管が拡張して血管内に多く残留している血液が、膀胱が収縮ると血液が絞られ出て来るのです。ところが、間質性膀胱炎では、検査で普段以上に膀胱を膨らませると、血管のハッキリ見えない所から血液が滲み出ているのです。この理由は、普段の膀胱容量が小さいので、普通よりも膀胱を大きくされたために、毛細血管が伸び切れなくなり、毛細血管が切れて出血したのです。つまりこの出血は原因不明の炎症ではなく、単なる物理的な血管損傷なのです。
ところが、この点状出血は前立腺肥大症の内視鏡手術(TUR-P)の際の膀胱粘膜によく認められる所見です。つまり、前立腺肥大症の患者さんのように、排尿障害のため頻尿で膀胱容量が小さくなっている患者さん多く認められる所見です。これから考えられることは、間質性膀胱炎のガイドラインを決定した有名な医師たちは、手術の経験が少ないペーパーだけに興味のある外科医ではない泌尿器科の医師ばかりでしょう。
詳しくは次のブログをお読みください。
やはり膀胱鏡検査で、間質性膀胱炎の粘膜には、粘膜が欠如した粘膜潰瘍が認められます。これがハンナ型潰瘍と呼ばれます。ハンナ型潰瘍のある間質性膀胱炎は、難病指定の病気です。
しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合は、ピロリ菌などが関与して、粘膜が胃液の「塩酸」によって発症します。ところが、膀胱粘膜の周辺には、塩酸のような劇薬成分はありません。これは、前述の点状出血と同じ理由です。医師のアドバイスで「オシッコをガマンしなさい」と支持されます。当然、適切な膀胱容量が無理やり大きくなります。結果、膀胱粘膜が伸びますが、毛細血管は粘膜ほど伸びないので、血流が途絶えます。まるで梗塞状態になって、血流が届かない末梢の粘膜が壊死して潰瘍になるのです。
これらを、間質性膀胱炎の「特徴」と定義している学会のガイドラインは、想像力のない連中が作成しているとしか思えませんね。
★膀胱水圧拡張手術
間質性膀胱炎の治療が、水圧拡張手術です。膀胱が過敏になり、次第に膀胱が萎縮し、結果として頻尿になります。その膀胱を無理やり膨らませて、膀胱の容量を大きくする方法です。でも、よく考えてみてください。原因が不明のままダメになった膀胱を無理やり大きくするのです。無謀な治療だと思えませんか?この治療で症状が改善するのは、平均で7カ月です。そのため何回この治療をして苦しむ患者さんかたくさんいます。最後には完璧にダメになった膀胱を取り去る手術をするのです。これが標準治療というのは、???……人を助ける筈の医療行為だとは思えません!
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