内視鏡手術の工夫
慢性前立腺炎や間質性膀胱炎や膀胱疼痛症で苦しんでる患者さんの多くは、α1ブロッカー(ユリーフ・ハルナール)とβ3作動薬(ベオーバ・ベタニス)でほぼ改善します。
しかしながら、100%ではありません。10%くらいの患者さんは、なかなか治りにくいのです。そのような場合には、内視鏡手術を選択します。イラストは、その主な方法です。
症状の原因は、膀胱出口の膀胱括約筋と膀胱三角部の肥厚と過敏が主な原因です。したがって、膀胱出口周辺を切開・切除する必要があります。
初期は、男女問わず膀胱出口を切開する訳ですから勇気が必要でした。なぜなら、男性の前立腺肥大症の場合は、前立腺と共に膀胱出口を気にせずに切除出来ましたが、若い男性の場合は、手術後に後遺症として射精障害になった際には男子不妊症になります。
また、ご婦人の場合には、歴史上そのようか手術がなかったのです。ご婦人の場合は、膀胱出口と尿道括約筋との境界線が不明で、尿道括約筋を切除すると完全な尿失禁の後遺症が作ってしまうからです、男性の場合は膀胱出口と尿道括約筋の間に前立腺が位置しているので、安心して切除ができるのです。
解剖学の専門書を何冊も調べたら、日本の解剖学専門書には、膀胱出口と尿道括約筋の区別は記載されていませんでした。ところが、フランスの臨床解剖学の専門書には、膀胱出口と尿道括約筋との位置関係が明瞭に離れて記載されていたのです。
❶先ずは最小限度の切開をしました。0時と6時です。膀胱出口が開きやすく閉じやすくするために、一直線的な切開をしました。この方法であれば、射精障害にはならないのです。
❷かし、膀胱出口のトリガーポイントのセンサーが0時と6時だけとは限りませんでした。そこで、2回目の手術の患者さんや手術中に関連痛症状が明確にに分かる患者さんの場合は、十字に切開、つまり0時3時6時9時を切開しました。この写真は61歳のご婦人で、頻尿が60回で陰部の激痛が毎日3回もある患者さんの手術の写真です。この手術のあとには頻尿は60回→5回になり、激痛も消失しました。
❸ところが、左右対称に切開すると、膀胱出口が再び硬くなることが段々と分かって来ました。そこで、排尿障害だけで関連痛症状の無い患者さんには、左右非対称に切開しました。
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コメント
スマホアプリのSmart Newsで慈恵医大の三木先生が前立腺がんの増加と検査と治療について詳しく書いておられます。PSA検査の是非や生検についても高橋先生に近い考えを持っておられます。是非一度ご覧になってください。Smart Newsのトップをクリックしてみてください。
【回答】
この三木先生は、私よりはるかに下の後輩で、一緒に仕事をしたこともありません。
述べていることは、常識的な事しか言っていません。
前立腺ガンが増えたのはPSA検査をしたことと、前立腺肥大症が増えたことに起因するのです。
そして、見つける必要のない前立腺ガンをPSA値を理由に、無理やり発見したことに原因しているのです。
また、前立腺針生検で隠れた前立腺ガンを刺激したから、死亡原因になるほどの悪性度を増したのです。その結果、前立腺ガンで亡くなる人が増えたのです。ある意味で、医原性の弊害です。前立腺ガンを見つけようと努力する余り、大勢の人々を苦しめているのです。これが正当な医療とは思えません。
投稿: 京都在住 | 2019/09/26 12:47
今日26日の毎日新聞の夕刊の2面に前立腺がんの新しい検査と治療が大きく掲載されました。ご参考にして下さればうれしく思います。
投稿: 京都在住 | 2019/09/26 17:26
三木先生を存じ上げておりませんが、高橋先生の後輩なので同じような考えを持っておられると私が勝手に思ってしまっておりました。生検のリスクや80歳を過ぎるとPSA検査は必要ない書かれていたので錯覚をしてしまいました。先生の回答に書かれていたことは高橋先生の以前からの信念だと思います。私も生検をしてしまって、医原性の被害者の一人だと思います。
【回答】
彼は前立腺ガンの放射線内部治療で有名になった医師です。
放射性物質の針を前立腺に何本も刺して前立腺ガンを死滅させる方法です。
彼からすれば、前立腺ガンを出来るだけ沢山見つけたいだけです。
ですから、触診や超音波エコー検査やMRI検査では発見が難しいからと、前立腺針生検を積極的にすすめているのです。
私からすれば、触診や超音波エコー検査やMRI検査で見つからないステージ❶の前立腺ガンは、見つけてはいけないと考えています。
目先の名誉や利益だけを考えている医師は、どんなに有名であろうと医師とは思えません。
でも、大学病院や有名病院の有名医師のほとんどが、このパターンです。
投稿: 京都在住 | 2019/09/26 19:45