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ビール自動醸造症候群

35ab9c0029f849339f1260468b107949 先日のテレビでビール自動醸造症候群と呼ばれる病気の患者さんのドキュメンタリー番組が紹介されていました。

この男性はレストランのウェイターで真面目に仕事をしている人間でした。ある時、頭が痛くなり、次第に気分が悪くなりました。しかし、一晩寝たら正常に戻るのです。そのような事が時々起きていました。しかし、次第に症状がひどく毎日起きるようになったのです。

奥様と夕食後に、やはりフラフラになって意識朦朧となり、結局そのまま寝てしまいました。翌日頭が痛くて、まるで二日酔いのようでした。写真は奥様が撮影した、その際のご主人です。しかし、夫婦で夕食している時にアルコールは一滴も飲んでいない事は奥様も承知していました。

そこで、病院に行って精密検査を受けましたが、まったく異常を認めませんでした。何軒も病院を受診し、胃カメラ3回、大腸カメラ5回、CT検査、MRI検査も受けましたが、異常を認めませんでした。診断は、異常なし、アルコール中毒とされていましたが、飲酒していないのに…?

ある日、交通事故で追突された車を運転していたのに、フラフラしていたので飲酒運転したという事で逮捕されてしまったのです。ご夫婦で、さらに懸命に病院を探しました。たまたま見つけた医師が、これまで行っていない検査を行いました。大便の検査をしたところ、酵母菌が正常の3倍以上の存在が発見されました。つまり、酵母菌の増殖により、消化管内のブドウ糖を発酵してアルコールを体内で大量生産したことによる泥酔状態が病気の症状だったのです。これがビール自動醸造症候群だったのです。

Aa8bc66fbe0841c1bdd903875b711edd この病気は、1972年日本で医師が発見した病気です。原因は、ストレス、無理なダイエット、生活習慣の乱れ、抗菌剤の過剰投与によって腸内細菌叢が乱れ酵母菌(写真)が異常増殖したことによる病気です。

ご飯、スパゲッティ、パンなどの炭水化物が分解されて大量の糖分に、酵母菌が反応して発酵の結果、大量にアルコールが産生されるのです。ドキュメンタリーの主役の男性は、医師に飲酒してはいない、検査で血中アルコール濃度が急激に高いということから、なぜ適正な検査をしないで、アルコール中毒と誤診したのでしょう。

過活動膀胱や間質性膀胱炎や慢性前立腺炎で長期間に渡って何軒も医療機関を受診して治らない患者さんたちも、まったく同じ環境です。もっと患者さんの立場になって、病気を真剣に追求しなければなりません。尿がきれいで、膀胱の中も問題がなく頻尿だと過活動膀胱と診断され、尿がきれいで膀胱の中に点状出血があり頻尿と痛みがあると間質性膀胱炎と診断され、男性で前立腺肥大症がなく頻尿と痛みがあると慢性前立腺炎と診断されるのです。症状と簡単な検査で病名を診断して、原因は追求しないのです。医師としていい加減にもほどがあると思えますよね?

 

 

 

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