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排尿機能障害の見つけ方

さまざまな症状で振り回されてしまう、下部尿路症(前立腺肥大症、慢性前立腺炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、神経因性膀胱、膀胱疼痛症)の原因は、私の考えでは全てが排尿機能障害が原因です。

排尿機能障害の発見するための検査方法は、一般的に❶ウロフロメトリー(尿流曲線測定)と❷残尿量測定と❸膀胱内圧測定です。ところが、これらの検査には厳格な定義もなく、検査する医師の経験的判断が多いのです。

Fc02d382cbbb4a52ad03cfc1353cfe25 例えば❶ウロフロメトリーの場合、正常の排尿曲線は左右対称の正規分布曲線ですが、先端の高い「するどい山」の姿が正常です。この曲線が低かったり、山がたくさんあるのは排尿障害を示唆しています。

E767edded52640a681ae84f4ebeca483 次に❷残尿量測定では正常範囲が50㎖とされていますから、全ての医師がそう思っています。では何故50㎖という数字になったのだと思われますか?基礎医学の解剖書には、『残尿量は0㎖が正常㎖と定めたのでしょう?これには訳があります。その昔、前立腺肥大症の手術は開腹手術でした。当時は前立腺の手術は未熟で術中や術後の大量出血で患者さんが出血死することがたびたびあったのです。そうなると、前立腺肥大症=手術=死に結びついてしまいます。そこで、前立腺肥大症の手術をするための規制条件を設定したのです。それが、残尿量が50㎖以上の排尿障害だったのです。この状態が続くと将来的に腎臓が悪くなり腎不全で亡くなるからです。

5e0aadde18bd4081abf0cec1485c56d1 最後が❸膀胱内圧測定です。ダメになってしまった膀胱の力を内圧測定で判定しようとする検査です。

D03fdfd7cdab475d913670ca8046e22e 盲点がそれぞれにあります。

❶ウロフロメトリーの排尿曲線の形は厳格に区別しなければなりません。ところが医師によっては大雑把に判断してしまうので、排尿障害の根拠が見つからないと、結果、誤診し正常と判断してしまうのです。

❷残尿量測定の結果が50㎖未満だと、医学の歴史を知ろうとしないバカな医師が問題なしと判断するのです。

❸膀胱内圧測定は患者さんを仰向けにして測定するのです。ここに問題があるのです。なぜなら、人間は仰向けでは排尿しません。するのは夜尿症の時だけです。通常は座るか立って排尿するので、膀胱の力だけではなく、内臓の重さと腹圧が膀胱に圧力をかけているからです。

Dysuria 一番重要な盲点があります。ヒトの病気が原因の症状や検査所見は、あくまでもアナログ的世界なのです。決してデジタルな世界ではありません。排尿機能障害が存在しても、必ずしも上記の検査結果が異常と出る訳ではないのです。逆に検査結果で異状が出ないから、多彩な症状でそれを補っているのです。しかし、一般的に医師はデジタル的なものの考え方をするので、検査で異常を認めなければ「排尿機能障害はないですよ。」と誤診してしまうのです。医師が受験勉強の時に使用した『チャート式』参考書の影響です。つまり『パターン認識』に毒されるのです。ヒトを含めて生命はアナログ的世界ですから、デジタル的考え方ですべてを網羅することはできないのです。

Chart 長年臨床を経験して、排尿機能障害を早期に発見可能な検査が、超音波エコー検査です。排尿機能障害があると先ず初めに膀胱頚部(膀胱出口)付近の形態異常が確認できます。ですから、私は最近では超音波エコー検査のみで排尿機能障害を確認しているのです。

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コメント

泌尿器科医の立場で、排尿障害があり、 高橋クリニックを受診し、先生の治療に納得している 泌尿器科医は何人いますか?
また その泌尿器科医は、排尿障害の考え方を中心とした治療を、その地で行っているのでしょうか?
【回答】
いません。

投稿: | 2019/07/20 15:13

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