頻尿と無関係の…前立腺ガン
先日、患者さんからご紹介された80代の男性がご夫婦でお越しになりました。
その男性の悩みは頻尿でした。毎日10回以上の頻尿と尿意切迫感で悩まれていたのです。地元の総合病院で治らない頻尿のことを何べん訴えても、同じお薬をただ処方されているだけでした。医師であれば、目の前の患者さんの訴えに応じてお薬の工夫をしなければなりません。
早速、エコー検査を行いました。前立腺の大きさは43ccと通常(20cc)の倍の大きさでした。また膀胱の壁がデコボコしています。これは、排尿障害による膀胱への物理的負荷が長期間かかることによる肉柱(白い→)形成の結果です。体質の関係で前立腺の全体像が詳細に観察できないので、一度、排尿していただきました。
排尿後に残尿測定をしたところ、40㏄以上も残っていました。すると、前立腺が詳細に見えたので、入念に観察しました。膀胱縦走筋が変形して肥厚しています。排尿障害の証拠です。また、前立腺の実質の中に前立腺結石を認めました。これも排尿障害の証拠です。膀胱三角部の粘膜が白く輝いています。これも膀胱出口が十分に開かないで排尿するために生じる膀胱出口の振動が原因で膀胱三角部の粘膜が硬くなった証拠です。つまり排尿障害による膀胱三角部の過敏による頻尿が、この患者さんの症状なのです。
さらに詳細に前立腺を観察すると、…あってはならない影が見えるのです。そこで前立腺の直腸触診を行うと、前立腺の左葉から中央にかけて硬結が触れたのです。明らかに前立腺ガンでした。
もう一度、エコー検査で確認すると、前立腺外腺組織の左葉から中央にかけて前立腺ガンの陰影(赤い→)が確認できました。前立腺ガンと思われる陰影の大きさは1.54㏄です。
今回の患者さんの悩みは頻尿でしたから、まずは頻尿の治療を優先としました。前立腺ガンの治療は帰宅後どうするのかお考えくださいとお話ししました。
後日、改めてお越しになり、私の奇抜でユニークな治療をすることになりました。
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