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下部尿路症の全体像

「下部尿路症」には様々な病名があります。
①間質性膀胱炎②慢性前立腺炎③膀胱疼痛症④前立腺肥大症⑤過活動膀胱⑥慢性骨盤疼痛症候群⑦陰部神経症⑧自律神経失調症
こんなにたくさんの病気があるのです。一貫性のないグチャグチャした病気のグループのように思えますね?
ところが、見方を変えれば、本質が見えてくるのです。
例えば、インフルエンザの症状を例に挙げてみましょう。
❶のどが痛い❷咳が出る❸鼻水・鼻づまり❹頭が痛い❺ふしぶしが痛い❻ムカムカする・胃が痛い❼下痢をする❽全身がだるい
これらの症状はインフルエンザの患者さんで多く見られる所見です。これらの所見を別の言い方をすれば、次のようになります。
❶咽頭炎❷気管支炎❸鼻炎❹頭痛❺多発性関節炎❻急性胃炎❼急性腸炎❽全身倦怠感
これらの個々の病気だけをだけを単に対症療法的治療しても不完全なことがあります。なぜなら、インフルエンザウィルスの治療をしないからです。

これらと同じように、下部尿路症のほとんどすべてが原因不明なのです。原因不明のまま、病気を定義して対症療法だけに徹している現在のほとんどの泌尿器科医の偉そうな態度に私は腹が立ちます。
【原因】
たくさんの病気を抱えている下部尿路症の原因は、実は患者さんがほとんど自覚しない単純な「排尿障害」が原因なのです。泌尿器科専門医にとって排尿障害の治療は基本中の基本です。しかし、患者さんが排尿障害を自覚していない、訴えないので、主治医も間違った方向に向かって治療を進めるために、患者さんは治らないため苦しむのです。

【原因の本質】
排尿障害の基本は膀胱頸部の機能不全です。そのために時間の経過と共に膀胱頸部(膀胱三角部+膀胱括約筋)が肥厚し過敏になるのです。

【症状の多様性の理由】
膀胱頸部(膀胱括約筋+膀胱三角部)の過敏→大量の情報エネルギーの発生→脊髄神経回路の混乱→特異的な神経経路以外の神経に不正アクセス→個性的なソフトウェアの確立→症状の多様性

【治療】
膀胱三角部の過敏さを鎮めるためにβ3作動薬(ベタニス・べオーバ)を処方します。
膀胱括約筋の過敏さを鎮めるためにα1ブロッカー(ハルナール・ユリーフ・フリバス)を処方します。
上記の治療で不十分な場合には、抗コリン剤(ベシケア・ウリトス・トビエース・ネオキシテープ)を利用するのです。
患者さんによっては、過剰な反応する脊髄神経回路を抑制するために、神経ニューロンのシナップス結合をブロックするトラムセット・リリカを採用したりします。

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コメント

リリカ飲んでいます!左の腰足のしびれがひどくなり、量が増えました(それでも私の体重からすれば多くはないそうですが)

ヘルニアとまではいかないが、形の変な骨が一つあって神経にさわるそうです。今しびれの範囲はせまくなりましたが、解消はしていません。薬の量が適量なら頻尿にも効くのでしょうか?

他にも整腸剤やビタミン剤、アレルギーの薬に安定剤を飲んでいます。尿のにおいが苦く感じることがありますが、たくさん薬を飲んでいることと関係あるでしょうか
【回答】
何とも言えません。

投稿: 50代女性 | 2019/02/17 05:40

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