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人生は人それぞれ

B394c7710a5d4a4badbc75df6d80c1ca先日、1月17日の朝日新聞の広告を見て、私の書いた本を購入した60歳台の男性が、愛知県からお越しにになりました。
それまで頻尿・尿意切迫で悩んでいたのですが、2年間放置して全く治療されていませんでした。学校の先生で授業中に突然尿意を感じて、それを我慢しんなければならないことが多かったのです。2日前に突然血尿が出たので、それを機会に意を決して来院したのです。
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早速、エコー検査を行いました。予想通り膀胱の排尿筋は膀胱出口を指し示しいませんでした。(赤い矢印)当然、膀胱三角部が厚く(白い矢印)なっています。前立腺も34cc(正常は20cc)と大きくなっています。隠れた排尿障害による膀胱出口の変形と膀胱三角部の過敏さによって生じた尿意切迫感と判断できました。
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しかしながら、これらの所見だけでは、2日前の血尿の理由を確定できません。そこで、前立腺の上の膀胱をエコー検査で入念に調べました。『!!』すると、膀胱出口の左横に直径1.5センチ以上の塊(かたまり白い矢印)が見つかりました。エコー・ドップラーで観察すると、腫瘍の中に明らかな動脈性の血流(赤い部分)が確認できました。つまり膀胱腫瘍=膀胱ガンです。前立腺肥大症でも、たまに血尿が出ることがありますが、今回は膀胱腫瘍が原因でした。見逃さなくて良かった!

患者さんの悩みの主体は尿意切迫感でしたが、偶然に膀胱腫瘍が見つかったのです。「怪我の功名」、「瓢箪から駒」です。前立腺の治療は当院で出来ますが、膀胱腫瘍の治療は、今後の治療や経過の流れを考慮したら、設備の整った基幹病院で治療した方がいいのです。

そこで、丁寧に説明したところ、「何もせずに自然体ではダメですか?」と患者さんは応えたのです。『え〜!?』ラッキーにもせっかく悪性腫瘍を見つけることができたのに……何故?ところが、この患者さんは、自然体の生き方を信念としている人で、そのため尿意切迫感も2年間未治療で暮らして来たのでした。
「選択はご自分で決めて下さい。尿意切迫感の治療薬は1ヶ月処方しますが、必ず地元の市民病院や日赤病院を受診して下さい。」とお話ししました。……私としては割り切れない思いです。


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コメント

筋腫手術前には中が窮屈で肉のかたまりがごろごろしてる感があったのですが、全摘後はすっきりなくなっていました。2年たち、また中がごろごろと窮屈になっています。何か悪い物の可能性があるでしょうか。膀胱の関係があるでしょうか。
★回答
膀胱の可能性も子宮筋腫の術後の後遺症も可能性としてあるかもしれません。

投稿: 50代女性 | 2019/01/28 22:51

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