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うつ病と排尿障害

Bb08a7a8b7524e7dbdf6ba5f9d45e8b9慢性前立腺炎で来院する患者さんの内、8割の男性が「うつ状態」です。
間質性膀胱炎で来院する患者さんの内、2割のご婦人が「うつ状態」です。
どちらの病気も排尿障害が原因なのに、何故に男女差があるのでしょうか?
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それには、理由があります。ご婦人は、子どもを産める身体なので、お産で子宮に想像を絶する負荷がかかっても、長期間に渡って耐えられる体質なのです。したがって、排尿障害で膀胱に長期間負担がかかっても、肉体的にも精神的にも耐えられる身体なのです。
ところが、男性は妊娠→お産はしませんから、ご婦人のように、排尿障害で膀胱・前立腺の負荷に対して耐えられる身体にはなっていないのです。そのため、排尿障害が原因の慢性前立腺炎の場合、身体的不定愁訴やうつ状態になるのです。

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排尿障害の「うつ状態」や「うつ病」の治療として、次の方法が考えられます。
❶排尿障害のために、膀胱・前立腺に負担がかかり、それが内臓負担→海馬の混乱→ネガティヴ思考の慰留→脳中枢に負荷がかかり、「うつ状態」になったのです。ですから、排尿障害を治療すると脳中枢への負荷が解除されるので、精神的に改善するのです。治療薬としてα1ブロッカーであるユリーフ・ハルナール、β3作動薬のベタニスが必須です。
❷排尿障害で硬くなった前立腺を軟らかくするために、男性ホルモンを抑える前立腺肥大症治療薬であるアボルブを処方します。また、これは男性ホルモンを抑える=女性化するに等しいのです。男性が女性化すれば、女性の能力、つまり、内臓の負担に耐えられる体質になるのかもしれません。うつ状態が改善するでしょう。また、更年期を過ぎたご婦人の場合も、アボルブで効果が得られます。その理由は、更年期を過ぎると、卵巣から分泌される女性ホルモンが100%→20%に減少しますが、副腎から分泌される男性ホルモンは減少しないので、女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが逆転して、ご婦人もある意味で男性になってしまうのです。そのために体調が崩れてうつ状態になるのです。男性ホルモンを抑える薬を服用すれば、ホルモンバランスが回復して、更年期障害の症状が落ちつくのです。
❸それとは、逆に男性ホルモンを注射する方法も考えられます。男性ホルモンは、脳内のネガティヴ思考を消去する作用があります。更年期を過ぎた「うつ病」の患者さんに男性ホルモンを注射すると、患者さんのうつ病が解消されます。
❹脳中枢に排尿障害の情報を発信している「センサー」は、膀胱出口周囲にある膀胱括約筋・膀胱三角部です。排尿障害のある患者さんには、ここが厚くなり過敏になって脳中枢を刺激するのです。ですから、内視鏡手術で、この部分を切開・切除してセンサーを出来るだけ破壊するのです。手術で「うつ状態」を治すというのは、奇想天外でしょう?


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コメント

高橋先生
お世話になります。
慢性前立腺炎の方の中には「恥ずかしがり屋の膀胱」という膀胱をお持ちの方が恐らくある一定割合でいると思います。人が側にいるとトイレで排尿が困難になり、やむなく個室トイレでする、といった状況になります。しかし、アルコールをそこそこ飲んだ際にもリラックスしているつもりでもこの場合も自宅個室において排尿に相当時間がかかったりしますので、高橋先生がおっしゃるように何らかの平滑筋の制御機能不全が潜んでいるものと思います。私は中学生の頃に排尿障害を自覚した時は男子は開放トイレで小用をするので、常に排尿のタイミングを気にしてストレスでした。そういった感じで大人になっても気になる状況でしたが、ハルナールを開始してから、スーッと出る感じになりだして、人中での排尿も以前ほど気にはならなくなってます。女性の場合は排尿障害があっても個室での行為ですので、比較的タイミングを気にする必要がないので、子供の頃、羨ましかった記憶があります。でも、女性でもフェイクの音消しの水流の音がないと緊張するという話もあるので、個室でもストレスになる方はいるんでしょうね。
ところで、話が変わりますが、私自身ここ数ヶ月前から8年続けていたハルナールが効かなくなり、睾丸部痛が増悪したためユリーフや他剤を使い、3ヶ月程度でかなり痛みは改善した経験をしました。同じ慢性前立腺炎の方に参考ににしていただいたら幸いと思いますので、個人的体験ではありますが、良かったと思われる事に関しまして記載しておきます。服用した薬ではユリーフ(α1D遮断薬)、ベタニス(β3遮断薬)、ベシケア(抗コリン薬)、ザルティア(バイアグラと同じ成分)、正露丸、イリボー、春ウコン、アドナ(止血剤)、アグリマックス(イソフラボン)、ビタミンB、Cサプリメント、サインバルタ(SNRI)、ノイロトロピン(ワクシニルウィルス播種兎抽出液)等です。しかしながらイリボーは便秘にて中止。アドナは効果不明で、中止。イソフラボンは普通のお豆に変更していますが、効果は不明。ベシケアは口渇便秘にて中断。正露丸はあまり長く飲めず、中断。春ウコンも効果は不明。
ノイロトロピンも効果ははっきりしませんが、継続中です。
やはり、よかったと思われるのはユリーフ、ベタニス、ザルティア、サインバルタと思います。特に痛みに対しては慢性疼痛ガイドラインというのがありますが、そこにも優先順位が高いものとしてサインバルタが挙げられています。この薬は元々、抗うつ剤として承認されていたものですが、痛みの下降性抑制系というものを賦活して痛みを鎮めてくれる様です。私もこれを一旦中止して様子を見て見たとき、痛みが増強し、再開すると鎮静化したので効果ありと判断しています。しかし、この薬には尿閉や高コリン作用にて便秘などもありますので排尿障害のある方には使いにくいかもしれません。
一方、薬物療法以外では個人的に実施してのは、ペインクリニックでの仙骨硬膜外ブロック、鍼灸での陰部神経への低周波針治療、泌尿器科でのNico Waveによる陰部神経刺激療法です。鍼灸に一番初めに行きましたが、最初は針のみの刺激であったにもかかわらず2時間程度痛みが消失しました。その後は電気刺激をするようになり、痛みが三分の一程度に改善しました。合計6回行って中止しました。途中からペインクリニックにも行きましたが、数時間痛みが楽でしたが、あまり効果は感じませんでした。2回で終了。一方、Nico Waveはとても効きました。25分程刺激されますが、ジンジンした感じが残りますが、2〜3日間は痛みが三分の一程度に軽減しています。週2回で割と楽に過ごせました。以上、3ヶ月程度の経過です。今、現在は鍼灸、ペインクリニック、Nico Waveともに中断していますが、痛みは気にならなくなっています。ちなみに、私のこれらの治療の選択は全て高橋先生のブログから勉強させていただいたものです。ここに高橋先生には改めて感謝申し上げます。
高橋先生、今回の「うつ」との慢性前立腺炎と関連性に関してのブログ再度勉強になりました。来年、体調を整えて、手術のリベンジをさせてもらいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

投稿: ○○泰則 | 2018/11/17 15:50

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