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医療サイト投稿原稿#2 「三つの膀胱炎」

膀胱炎には、経験上、次の3タイプがあると思われます。あくまでも私の分類です。
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❶急性細菌性膀胱炎
抗生剤・抗菌剤で簡単に治る膀胱の感染症です。5日も薬を服用すれば、症状は治ります。性器皮膚粘膜に存在する雑菌が、性行為によって女性の膀胱内に大量に侵入し起きる細菌性感染症です。性行為が盛んな若い女性が発症する病気です。症状としては、血尿、尿混濁、排尿痛、残尿感、頻尿です。これらの症状が揃っていれば、尿検査をしなくても診断できます。

❷偽細菌性膀胱炎
症状と検査所見は、前述の膀胱炎と同じです。やはり雑菌が検出されます。「偽」という病名が何故付くのかと言えば、性行為を行なっていないにも関わらず、細菌性膀胱炎になるからです。性行為をしていないので、膀胱内に大量の雑菌が侵入した訳ではありません。
では何故、細菌性膀胱炎になるのでしょう。膀胱内には、わずかながらですが、常に常在菌が存在しています。気圧・温度・湿度の変化で体調が崩れると、体を防御しようと白血球が過敏になり興奮し、一斉に雑菌を攻撃するのです。攻撃された雑菌は反撃する手段を持っていませんから、生き残っている雑菌が寄り集まり増殖で対抗します。雑菌が増えれば増えるほど白血球はさらに興奮し攻撃を掛けるので負の連鎖が始まり、見かけ上、細菌性膀胱炎になるのです。
膀胱炎を繰り返すと、「陰部を清潔に保ちなさい」とか「排便後お尻を拭く時は前から後ろに拭きなさい」とか見当違いのアドバイスをする医師がいます。日本人は毎日入浴して清潔好きです。そのようなアドバイスは無知による人格軽視の言動です。
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❸無菌性反復性膀胱炎
これまでの膀胱炎は、原因はともかくとして雑菌が関与した膀胱炎です。次に解説するのは、雑菌が関与しない「膀胱炎」類似症状です。症状は細菌性膀胱炎と違い、血尿、尿混濁、排尿痛、残尿感、頻尿の症状が全て揃っている訳ではなく、血尿を除く1つか2つの症状が突出するのです。そして、その症状が執念深くて頻尿が毎日40回とか、尿道や陰部が排尿に関係なく常に痛いとか、症状が1カ月以上続くとか、年に何回も繰り返すなどです。尿がキレイで雑菌が検出されなければ、精神科の患者さんと医師が誤診するのも、不思議ではありません。これらの症状のある人が、心因性膀胱炎、過活動膀胱と診断されて、原因を追求されないまま大した治療もされないで放置同然にされてしまうのです。

患者さんの自覚しない、また診察する医師も評価しないような軽度の排尿機能障害が原因です。そのために膀胱粘膜(特に膀胱三角部)が過敏になり、そこを支配する脊髄神経が症状を作るための複雑で高度の神経回路を築き上げるので、チョッとやソッとでは治らないのです。
治療目標が3つあります。⑴排尿機能障害 ⑵過敏になった膀胱三角部 ⑶脊髄神経回路の3つです。

【医療関係者読者による感想】

また、以下には高橋先生の記事の感想をいただきましたので、少し記載させていただきます。
記事は全体の97%の方が満足していると回答しており、

・これまでおぼろげには考えていたが、明確には理解していなかった内容で、役に立った。

・大変わかりやすい説明でした。わずかな時間で勉強になりました。
・大変参考になりました。今までに一番役に立った内容です。
・偽細菌性膀胱炎の概念をあまり知らなかったので勉強になりました。
・尿の問題は一番遭遇する問題であり、抗菌薬が効くものは再発するとしても、なにをしても頻尿が良くならなくて困ります。勉強になりました。続編をお願いします。
・膀胱炎には、少なくとも三通りの病態生理があるとは。やはり臨床は奥が深いということを痛感します。
・一般内科ですが、膀胱炎症状で受診されるケースが稀ではないので、今後、受診される方に自信をもって説明をすることが出来ます。ありがとうございました。
・膀胱炎に対して適応薬5日投与とは知りませんでした。 大変分かり易い内容でした。 ありがとうございます。
・今回は頻尿や排尿痛を来す膀胱炎症状に対して、病態を分類して対処法を分かり易く解説して頂き、これからの診療に大いに参考になりました。大変有り難う御座いました。

などのお声をいただいております。
今後の執筆のモチベーションにしていただけますと幸いです。


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