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クスリと調味料

Img_1200ある原因の病気の患者さんにクスリを処方しますが、同じクスリが効くとは限りません。
患者さんによって、とても効くヒトもいれば、効かないヒトもいます。
まったく同じ原因にも関わらずです。そのような時には、同じ薬効の別のクスリに変えて処方します。この状況は、まるで調味料と同じです。例えば、ラーメンを食べる時に、胡椒をかける人、ラー油を入れる人、七味をかける人、ニンニクを入れる人、中には、タバスコをかける人など様々です。

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アルファ1受容体選択性  α1A  α1D
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ユリーフ           ++++   -
ハルナール         +++   +
フリバス             -   +++
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例えば、α1−ブロッカーという薬剤には、代表例としてユリーフ、ハルナール、フリバスの3つに分けることができます。ユリーフは、α1A受容体に特化しており、フリバスはα1D受容体に特化しており、ハルナールはα1A+D受容体に効果があります。排尿障害の患者さんに処方すると、常に同じ効果があるとは限りません。ユリーフが効果的な人もいれば、フリバスの方が効果的な人もいますし、ハルナールがいいと言う患者さんもいます。病名だけで処方しても、完全ではありません。患者さんの病気に関与しているα1受容体の種類と数に依存するからです。また、治療していくと、今までユリーフが効いていた患者さんが、効きの低下するヒトがいます。そんな時に、ユリーフ→フリバスに切り替えると再び効果が回復するのです。
Alfa1abdsubtypered
その理由は、ユリーフによってα1A受容体がブロックされたために、身体が『このα1A受容体スイッチは使えない』と判断して、《α1A受容体スイッチ》→《α1D受容体スイッチ》に変更するからです。そんな時には、α1Dブロッカーに特化したフリバスに変えるのです。この逆もしかりです。フリバスを使用して効かなくなったらユリーフに切り替えることもあります。

Img_1210
クスリは、α1-ブロッカーだけのお話しではありません。すべてのあらゆるクスリが生体の受容体・センサー・スイッチに作用して、生体に反応させるのです。α1-受容体のサブタイプのように、その他の受容体・センサー・スイッチにもサブタイプがあるはずです。スイッチの分布と数とサブタイプは、人それぞれです。同じクスリで、みんなが同じように効くわけではありません。

ですから、現場の臨床医は、たくさん存在する治療薬の中から患者さんにピッタリ合う治療薬を選択するのです。方法としては、先ず代表的な先発品を選び、治療経過を見ながらクスリを選びます。
他にも、抗コリン剤には、ベシケア、ステーブラ、バップフオ、ポラキスなどさまざまなクスリがあり、作用が少しずつ違います。つまり、抗コリン剤の作用するムスカリン受容体にも、やはりいくつかのサブタイプがあるのです。
β3受容体に作用する薬剤は、現在のところベタニスしかありませんが、各社がβ3刺激剤を開発中です。それらが出揃ったら、ベタニスが合わない患者さんに有益な効果が出るでしよう。
話しを戻しましょう。医師は、患者さんの好みに合った調味料を見つけるように、効果のあるクスリを見つけるのです。

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コメント

高橋先生
 
お疲れ様でございます。
酷暑が続きます。

初診の日も今日のような暑い暑い一日でした。

もっともっと死が迫って来たら生への執着が増すのでしょうか?

この痛みから解放されたい。
今日一日を、どうやり過ごすか?
長生きしたいとは微塵も思っていない。
この痛みの無い世界に早く行きたい。

そう言った私に
「あなた、この病気では死なないよ。
この病気では死ねないよ。」

高橋先生は、そう言われました。
ただ、ただ、涙を零している私に高橋先生は押すでも、
引くでもない視線で、そのように言われました。

私が一番恐いのは、一番不安で仕方なくなるのは
高橋先生に何かあった時の事を考える時です。

それは、もしかしたら自分の死よりも恐れている事かも知れません。

神様はこの世に必要な人は、必ずこの世に残して下さるのでしょうか?

それを信じていて良いでしょうか?

高橋先生、どうぞ、良い夏休みを。

投稿: | 2018/08/05 17:54

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