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ヒトは見える事しか信じない!という弊害

ヒトは見えている事しか信じません。Img_1181例えば、私たち日本人は神様やお釈迦さまを直接拝見したことがありませんから、参拝やお参りはしますが、骨の髄から神様やお釈迦さまの存在を信じているヒトは少ないでしよう。
にもかかわらず、見えないヒトの心や自分の心の存在は信じているのです。矛盾しますよね?

Img_1183
例えば、ある患者さんのお母様が、普段は問題ないのですが、血圧が突然高くなり困っていました。症状から考えると、どう考えても褐色細胞腫という血圧ホルモン腫瘍です。複数の内科専門病院を受診して、精密検査を受けましたが、原因不明でした。最終的な診断が、心因性、ヒステリー、歳のせいなどでした。

Img_1182【京都医療センターホームページより】
CT検査やシンチグラム検査などで、精密検査を実施したのですが、イラストや写真のように明確な陰影を発見されることがなかったのです。ところが、お母様の訴える症状からは、褐色細胞腫が一番疑われるのです。息子さんは、あきらめずに褐色細胞腫の治療で有名な専門医を日本中を巡りました。
最終的に、検査で陰影が認められない、特別な褐色細胞腫が存在すると断定された医師がおられました。決心してお母様に手術を受けてもらうと、副腎に細かく分散した褐色細胞腫が発見されたのでした。息子さんは、信念を貫いたのです。

この患者さんのエピソードのように医師も含めて、ヒトは目に見える事しか信じない、見えない事は信じないのです。専門医は、想像力をフル活動させて、病気の原因を追求すべきである!目に見えるように努力するため、前立腺の針生検をすることで、前立腺ガン細胞の発見に努めますが、隠れていた前立腺ガンを刺激して、逆に前立腺ガンの生存率を低めているのです。目に見えるようにしなくても、想像力を高めれば、患者さんに不利益を与えません。
患者さんの病気で得られた所見と、たくさんの検査結果の中で、一番重要視しなければならないことは、苦しんでいる患者さんの「訴え」そのものです。


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コメント

高橋先生お久しぶりです。
先日は広島の災害を心配して電話くださり、ありがとうございました。
被災してお亡くなりになった方がおられ痛ましい災害でした。
我が家は幸いに被災しておらず無事に暮らしております。
しかしながら交通網は混乱し、仕事のスケジュールの再調整や取引先の緊急対応などまだまだ混乱しております。

私の方のその後はまだほんの少し症状は有るものの、生活に支障をきたす事もなく頑張っております。
以前回復傾向を感じておりますので、いずれ症状は無くなるでしょう。

先生の医師としての使命感、人としての寛容さ、改めて感じさせられました。ありがとうございます。
私も頑張らなきゃ!
【回答】
無事で良かったですね。

投稿: 31356 | 2018/07/11 10:47

高橋先生

 見える事しか信じない!本当にそうですね。さらに酷いのは、目で見えるはずの事・目の前の患者の姿にも興味がないのか?と言う状況も多い昨今です。

 40年もまえ高校時代の教師が「新聞は裏から読みなさい。書いてある事の裏で、世の中で、何が起きているのか、目に見えない事を考えるのが大事なんですね。」と教えてくれたと、昨年手術して下さった時にお話ししたのを思い出しました。言い忘れていましたがこの方は先生と同じ苗字!
 また、「目に見えないものを感じとって問題に対処できる事が本当の知性なんだよ」と話してくれた30年来の付き合いで音楽家の方がいます。この方は高橋先生とお誕生日が同じです。
 長い間かけて世の中の定説をすぐには信じない人間に育っていた私は、8年前にはこの病気が姿を現して転げ周り、高橋先生に出会う事ができました。最初の医師にすぐ見切りをつけネットを検索して数分「この先生だ!」と痛みを忘れるほど嬉しかったのを覚えています。
いい事も辛い事も節目ごとに影響を受け助けて下さった方々との出会いにとても不思議な縁を感じています。

投稿: 金沢のY | 2018/07/17 00:34

高橋先生

 母の治療体験をたびたび取り上げて下さって有難うございます。実は、この治療には後日談があります。
 母の症状は、褐色細胞腫と思われて不思議ではないものでしたが、当初は原発性アルドステロン症も疑っていました。決定的なCT/MRI画像は得られませんでしたが、カテコラミンもアルドステロンも微妙に高い事が多かったのです。

 『高齢ならこれ位は普通です・気のせいだ・パニック症候群だ・高齢者は一喜一憂が一番悪い・血圧なんか測るから上がるんだ(と言った数分後に、じゃあ血圧を計りましょう・・漫才ですか?)・味噌汁は好きですか・そういう報告は聴いたことがないです(今思えば、嘘つけ!)・無理に手術したってそのうち平均寿命でしょ・人生諦めが肝心です(いえ、あなたを頼るのを諦めます)』等など、訳の判らない会話にもみくちゃにされながら関東・関西検査ツアーを4年間敢行しました。途中、ホテルで母が志半ばで倒れるのも覚悟しながら、でも、素人の自分の方が正しいと言う確信があり諦める気は全くしませんでした。

 最終的に、「この街では副腎疾患は珍しい病気ではないからね。(病気ごとにそんな聖地のような場所があるのか!)」と街のクリニック医師も言うこの地で診断がつきました。手術までの繋ぎに処方する薬も、従来は100mgまで増やしたら却って血圧の乱高下や胸痛が激しくなったのに、1錠を8分の1以下に粉砕という低容量処方にした所なんとかなり安定。
 
 摘出した副腎の病理検査は長くかかりましたが、病名は最終的には何と原発性アルドステロン症になりました。サンプルを薄くスライスして各地の大学病院で検証したそうです。アルドステロン症の時に副腎皮質にできる大きな腫瘍は無く、顕微鏡レベルで初めてわかる微小腫瘍がまるで褐色細胞腫のように副腎髄質全体に広がっていたそうです。それでも、褐色細胞腫ではないとの事でした。
 発作性が強くその高血圧発作に合わせて気絶心筋を2度も起こして死にかけた母の症状は褐色細胞の方にも思えたのですが、2つの副腎疾患の症状両方を併せ持ったものだったのかとも思います。
 「普通言われる症状なんて教科書の話。ホルモンはまだ判らないものが幾らあっても不思議ではないから、アルドステロンでもカテコラミンでもない未知の物質が出ていたとしても不思議ではないですね。」とは、主治医の一人のお話でした。

 今回も長々と書いてしまいすみません。もしも、このブログをお読みになっている方で心当たりの無い高血圧・心臓疾患・糖尿病(アルドステロン過剰は未病の間に心臓や膵臓も傷害するそうです)で心配な方がいらっしゃいましたら何かご参考になれば幸いです。

 ご相談した際に高橋先生が以前仰ったように、人の体はそんな単純なものではない、ですね。科学的なのに何と神秘的なのだろうと改めて思います。また、親子でこんなややこしい(医療がややこしくしている?)病気になりながらも助けて頂ける医師に出会えるのは本当にラッキーで幸せな事です。いつも本当に有難うございます。
★回答
詳細なご報告ありがとうございます。
さんざんご託を並べた医師連中に、自分達の無知を教えたいですね。

投稿: 金沢のY | 2018/07/17 02:26

高橋先生

 痛快なコメントをありがとうございます。本当にその通りです。
 無知・傲岸不遜なお言葉の殆どは、国主宰の研究班などにも名を連ね、治療を実現して下さった医師とも会合で顔を合わせているはずの「権威」の方々から頂きました。
 苦しむ患者を助ける事より論文や権威出世が何よりお好きな筈が、患者不在の仕事ぶりのせいで学会発表モノかも知れなかった希少症例を見逃したのでしょう、何をか言わんやですね。
 ただ、診断が年単位で遅れたせいで、ならずに済んだかも知れぬ心臓弁膜症の合併症に悩まされている母は、いい加減な仕事の紛れもない被害者です・・・が、あんな彼らにオペなど委ねなくて本当に良かった、とも思い前向きに生きています。

投稿: 金沢のY | 2018/07/18 23:01

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