慢性前立腺炎・間質性膀胱炎の症状ソフトは生涯続く
慢性前立腺炎で治りの悪い患者さんから、「いつになったら治るんですか?」と質問されました。
「子ども頃からある病気だから、治らないよ」と答えたら、患者さんは態度を一転して、「そんな話しは聞いていない!」と不遜な態度で言い放ちました。
私は短気ですから、「子供のころから隠れていた病気だから治る訳がない!ブログにもチャンと書いてある!読んだのか!💢😡😤\\\٩(๑`^´๑)۶////」
患者さんは、「何だ!その言い草は!遠くから来ているんだから、チャンと言え!」…闘いは10分ほど続き、待合室に緊張が走りました。…人には相性があります。患者さんと医師の間にも同じです。医師は患者さんを選べませんが、患者さんは医師を選べます。…たまにある熱のこもった会話です。
患者さんが誤解されているので、病気の本質を改めて、ここに書きます。よくご理解ください。
慢性前立腺炎も間質性膀胱炎も、病気の本体は、【排尿障害+センサー+脊髄神経回路】の三位一体で構成されています。
①排尿障害
先天性の要因です。いわゆる機能性排尿障害です。排尿時に膀胱出口が閉塞するような動きをするのです。そのため、排尿時に膀胱出口は振動します。その刺激がセンサーを生み出すのです。
②センサー
膀胱出口の情報を獲得するために、膀胱出口の周囲、つまり膀胱頸部・ 膀胱三角部に生まれたのが、センサーです。膀胱出口近辺の情報を脊髄神経に伝達します。
③脊髄神経回路
センサーから受けた情報を脊髄内で処理して、脳中枢に伝達しなければなりません。しかし、情報量が多過ぎて処理し切れません。その結果、近くの尿路系の感覚ルートではない神経に情報を流出してしまうのです。すると、たくさんの情報が処理できます。それが、慢性前立腺炎・間質性膀胱炎の痛み症状、痒み症状、シビレ症状になるのです。
治療として、
❶保存的治療
a)膀胱出口の緊張を緩める…α1−ブロッカー:ユリーフ・ハルナール・フリバス、ザルティア
b)センサーである膀胱三角部の緊張を緩める…β3−刺激剤:ベタニス、抗コリン剤:ベシケア、α1−ブロッカー
c)神経回路を鈍感にする…トラムセット・リリカ、アミノ酸グリシン
❷手術治療
膀胱出口は内視鏡手術で出口を広くする。
センサーは内視鏡手術で破壊する。
内視鏡手術して膀胱出口を広くしてセンサーを破壊しても安心できません。機能性排尿障害は治りませんから、広くなった膀胱出口でも完璧ではありません。また、センサーを破壊しても、脊髄神経回路からセンサーの誘因刺激がありますから、センサーは一定の確率で再生します。
しかし、脊髄神経回路は手を付けることができません。神経回路はソフトウエアそのものです。例えば、梅干しを食べたことがあれば、梅干しを見ただけでスッパイだ液が出ます。何十年間も梅干しを食べていなくても、梅干しを見れば、やはりスッパイだ液が出ます。
子どもの頃、何回も転倒しながら自転車に乗れるようになれば、その後、何十年間も自転車に乗っていなくても、久しぶりに自転車を乗る際に、すぐに乗れます。したがって、一度訓練した、あるいは体験して作られた神経回路は、一生消えないソフトウエアなのです。機能性排尿障害が原因で作られた病気の症状は、機能性排尿障害という原因で、「訓練」された神経回路ソフトウエアですから、やはり、一生消えないのです。
患者さんがしばしば誤解することですが、治療して症状がなくなると、『治った~!』と思ってしまうのです。そして、当然のように、お薬を飲まなくなるのです。しばらくの間、症状は出なくなることはありますが、時間をおいて必ず症状は出てきます。その時が、問題です。何故ならば、ソフトウエアである神経回路が次のように思うのです。『前回の症状では、脳中枢に現状を理解してもらえなかったから、今度は、もっとバージョンアップしてやるぞ!』
この病気は、決して治る病気ではありません。症状が消えることはあっても、病気(神経回路=ソフトウエア)が潜んでいるだけです。油断すると、神経回路=ソフトウエアが起動されますから、くれぐれもご注意ください。
| 固定リンク
コメント
ブログを拝見していると、1回の内視鏡手術で回復していない方もいるようですが、センサーの完成度が高くかならず、2度目の手術が必要ということではないのですか。
★回答
脊髄神経回路が、破壊したセンサーを再生させるのです。
その能力は、人によって違います。
通常、90%以上の人は、内服薬だけでコントロールできます。
ですから、手術は積極的におすすめしません。」
更にセンサーを壊さないと不快感が取れないということではないのですか
★回答
センサーは内視鏡で確認できる訳ではありません。
基本的な手術で破壊できない時は、試行錯誤しながら手術するしかありません。」
1回の手術でも時間の経過で改善しますか また2回目の手術が必要との判断基準は何ですか。教えていただきたいです。
★回答
患者さんの症状が取れない場合や再発した場合です。
投稿: A | 2018/07/24 19:51
ご返答ありがとうございました。もうひとつ教えていただきたいです。1回目の手術で症状が取れない、2回目の手術が必要と判断するのは1回目の手術後どの程度の期間経過後ですか。
★回答
半年〜1年です。
長い人で、13年という患者さんもおられます。」
また手術は1回のみで、その後投薬だけで鎮静化するのは難しいですか。
★回答
投薬が効きやすくなります。
投稿: A | 2018/07/25 18:22
1回目の手術で治らす2回目の手術を検討するのは半年以降ということですが、半年経過しても症状が残るということは、イコール再度外科的手術で三角部の過敏を切開しないと治らないということではないのですか。半年以降に時間的経過で改善ことは期待できるのですか。素人考えだと治らないので症状が消えないのではと考えてしまいます。体は時間をかけて治癒していくと考えていいのですか。
★回答
物事で完璧で絶対的なものは存在しません。
手術も同じです。
手術の結果は、何があっても不思議ではありません。
今までのいろいろな質問してきたように、悩むのであれば、手術を選択しては絶対にいけません。
投稿: A | 2018/08/04 18:52