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グリソンスコア10のラテント癌

今回、ご紹介するのは、PSA値が高く心配になり、平成29年6月に来院した72歳の男性患者さんです。
平成28年にPSA値が5以上になり、診療所や大学病院で前立腺針生検をすすめられました。当院初診時には、超音波エコー検査でも触診でも、前立腺癌の所見は認められませんでした。

夜間頻尿(2回~6回)があり、超音波エコー検査で前立腺結石と膀胱三角部の肥厚を認めたので、排尿障害によるPSA値上昇と判断したのでした。
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その後も超音波エコー検査と触診を2回実施しましたが、前立腺癌の所見は得られませんでした。
その間、PSA検査を受け、その値が11を超えることもあり、患者さんは悩みました。また、周囲の友人のアドバイスも受け、私に内緒で、某がんセンターで前立腺針生検を受けてしまったのです。その結果、12本中2本に前立腺癌が発見されてしまいました。それもグリソンスコア5+5=10の悪性度の一番高い前立腺癌でした。
エコー検査や触診で確認できなくて、針生検で12本中2本ですから、ステージⅠのラテント癌ということです。問題なのは、悪性度の高いグリソンスコア10の前立腺癌を針生検で刺激してしまったことにあります。患者さんは、急いで当院を受診して今後の方針を相談に来られました。半ば後悔をしているようです。
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先ず、針生検した病院での治療方針が決まるまで、骨シンチ、MRI検査の結果待ちで3週間ほどありました。主治医は何も考えずに、計画を立てて待っています。
その間に針生検による傷害を治すために、体内の免疫・炎症システムが活発になります。結果、免疫細胞に傷付いた癌細胞は、マクロファージに貪食されるか、別の場所に運ばれてしまいます。

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能力の高い前立腺癌細胞が、自分たちの受けている状況を何もせずに傍観している訳がありません。癌細胞にとって、出来ることは、細胞分裂しかありません。癌細胞が細胞分裂をすればするほど悪性度が増すのです。癌細胞は通常3〜6週間に1回バラバラに分裂しますから、放置できません。
治療方針が決まるまで、エストラサイトを週1回1カプセルの低容量を服用してもらいました。その後、重粒子線治療を決めたのですが、人気で混んでいるため9月に開始することになりました。それまで、エストラサイトを続けて服用していただきました。

今回の記事は、この患者さんからのご希望で掲載しました。いろいろな体験をされる患者さんがおられます。記事を参考にベストの選択をされてください。


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コメント

先生からはPSAは無視しても良いと言われておりましたがついつい気になり測定してしまいました。結果は予想以上に高くなっていた為動揺し、治療経験者のアドバイスも有り先生のご指示に反して内緒で生検を受けてしまった事を今更ながらに悔やんでおります。このうえはエストラサイトを週一回服用し治療開始まで待つ事にいたしました。先生の様に患者に寄り添った治療、ご意見頂ける医師は少ない様に思います。先生も猛暑の中お身体ご自愛くださいませ。有難うございました。
【回答】
ご自分で選択した判断が、常にベストです。
ですから、後悔などはせずに、前に突き進んでください。

投稿: 35617 | 2018/07/19 15:53

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