14年間PSA高値が気になる患者さん
14年前に、たまたまPSA検査を行ったら、何と50を超えていました。炎症?の疑いで抗生剤を処方されました。その後のPSA検査では下がりましたが、PSA値は10前後を行ったり来たりでした。定期的に検査をしましたが、その都度、「針生検しましょう!」「針生検しましょう!」の連続でした。
14年間も言われ続けて、だんだん嫌になってきました。意を決して、ご夫婦二人で福岡から高橋クリニックに訪れました。患者さんは60代の男性です。
早速、エコー検査を実施したところ、前立腺の大きさは何と70cc(正常20cc)もありました。この大きさであれば、PSA値が14前後でも不思議ではありません。癌の陰影も確認できません。触診でも前立腺ガンの硬結はなく単なる前立腺肥大症です。それよりも、大した治療もしないで14年間も無事に生きてこられた事実を考慮に入れれば、この患者さんは前立腺ガンではなく、前立腺肥大症であると現地の主治医は何故判断できなかったのでしょう。医師として情けなく思います。
この患者さんの経過は次のようだったと思われます。
以前から大きな前立腺肥大症があり、排尿障害も強かったために、14年前に急性前立腺炎になったのです。その後遺症として前立腺内のPSAを保管する腺組織に穴が開き、腺組織と毛細血管にシャント(近道・側道・わき道)が出来上がってしまったのです。そのため、前立腺ガンでもないのにPSAが血液に流れ出してPSA値が高くなったのです。
最近の医師の悪い癖は、PSA値だけで前立腺ガンを強く疑っており、即、針生検を勧めるのです。この患者さんも一度も触診はされておらず、前立腺の大きさも指摘されていなかったのです。
PSA値が高かった患者さんは、主治医に是非触診をしてもらってください。触診でガンが触れなければ、少なくてもステージⅡ・Ⅲ・Ⅳの前立腺ガンではありません。触診で触れないステージⅠの前立腺ガンは、健常人と生存率は変わりません。
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