PSA高値の12%?
2013年〜2015年の2年間に、PSA値が高いと言って高橋クリニックに来院した患者さん500人のうち、前立腺ガンだった患者さんは、60人でした。パーセントで表現すると12%(8人に1人)でした。
一般的泌尿器科医師は、この500人すべての患者さんに針生検を強要するでしょう。丁寧な前立腺の触診と腹部エコー検査だけで判明できた60人の患者さんだけに治療すれば過剰治療を回避できます。残りの440人の患者さんに対しては、前立腺ガンを完全に否定している訳ではありません。触診とエコー検査で発見できなかった前立腺ガンは、ステージIのラテント癌の可能性があります。それを考えれば、半年・1年に1回の診察・検査で患者さんの安全は保証できます。(遠方からお越しになる患者さんとっては、交通費の経済的負担をかけてしまいますが……)
針生検で患者さんに精神的・肉体的に負担をかけ、MRI検査と針生検のための入院で経済的にも負担をかけます。さらに、針生検後のPSA値は高くなる患者さんが多く、その結果を受け、何回も針生検を強要されるのです。複数回の針生検の結果で発見される前立腺ガンの多くは、悪性度の低いグリソンスコア6以下がほとんどです。
触診とエコー検査で発見できなかった前立腺ガンを針生検で見付け出すのは、患者に長年に渡って精神的のも肉体的にも負担をかけトラウマを作る、ある意味犯罪です。
必ずしも隠れたガン細胞を見つけることが正義とは限りません。現場の患者さんの利益・不利益を考慮しない教科書通りの知識が正しいとは限らないのです。常識に振り回されないで、患者さんの心と身体を見ましょう!
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