前立腺の基礎医学#2(解剖学的観点)
【解剖学的観点】
今まで私たちが学んだ前立腺の知識は、構造的に内腺と外腺に分類されていました。前立腺肥大症は内腺から、前立腺癌は外腺から発生すると信じられています。
しかし、新しい知識として、前立腺は移行領域、中心領域、辺縁領域に分けることが出来ます。
既存の知識である内腺は、移行領域と中心領域が融合して作られています。外腺は尿道括約筋付近から発生し外側に発育する辺縁領域です。移行領域は前立腺の前面から、中心領域は膀胱頚部から誕生するのです。尿道に沿って発育し、外腺の内側に存在します。つまり、尿道の周囲であるので、排尿の善し悪しに直接関わることになります。前立腺は尿道を挟んで、後側の上下からと前側の真ん中から発生するのです。
内腺は、思春期の男性ホルモンであるテストステロンの分泌が盛んな思春期以降に更に発育し、更年期の男性ホルモン分泌が低下するタイミングで、その変化が刺激になって前立腺肥大症に変化するのは、納得できる反応です。しかし、移行領域と中心領域由来の内腺からの前立腺肥大症は、尿道に直結しているので、排尿障害に当然関与します。また、内腺部分が大きく発育しても、以前から存在する外腺に周囲を阻まれますから、抵抗のない膀胱側に発育するので、それが膀胱突出型の前立腺肥大症(中葉肥大型)になるのです。このタイプは、極めて排尿機能が低下します。
【参考文献】
解剖学アトラス
An Atlas of Prostatic Diseases 3rd edition
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コメント
月に一度の検診で必ず問診票を書きますが、その際に夜中の排尿の回数や一日の排尿時間と切迫感などを記入します。このために必要以上に神経過敏になって意識が排尿に集中してしまい困っています。排尿間隔の時間を計ったりしてしまいます。
カミさんからそんなことは気にしないで自然の排尿にまかせばいいといつも言われています。
よほど特別なことがない限り問診表は必要ないのではないかと思います。
先生のご意見をお教えください。
【回答】
排尿日誌は、排尿に関する現状を患者さんに自覚させて症状を改善しようというものです。
しかし、それは排尿症状が「気のせい・精神的」ということを前提にしています。
本当に病気のある人であれば、排尿日誌をつけても意味がありません。
神経質な人であれば、逆に症状が悪化します。
投稿: 京都在住 | 2018/01/16 13:30
早速のご回答ありがとうございました。
先生もお分かりのように私は神経質なので症状が悪化しているように思います。
だいたい2時間に一回ぐらいの排尿と夜中は2回ぐらいです。
神経質になると1.5時間に一回の時もあります。
今月の末ごろに、また一度お伺いしたいと思っております。
現在の前立腺の大きさは11.56cm3です。
【回答】
前立腺が悪いのではなく、膀胱三角部が過敏になっているだけでしょう。
ベタニスを服用すれば改善します。
投稿: 京都在住 | 2018/01/16 16:43
先生のブログを通して私は素人ですが、泌尿科医が一番
重要視しなければならない事柄は排尿障害だと言うことが解ります。
まず排尿障害を優先的に考えないでほかの病名を付けている現在の医療に疑問を感じます。
先日は京都の三十三間堂で通し矢がありました。
60m先の直径1mの的に矢を射ります。
振り袖に、はかま姿の新成人たちが矢を射っていました。
全く正しい的ではない物に矢を射っても無意味だと思います。
でも多くの泌尿器科の医師はそうなのかもしれません。
先生どうかいつまでも頑張ってください。
★回答
ありがとうございます。
投稿: 京都在住 | 2018/01/17 13:33