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医師の態度

Ilastdr
ドクターショッピングして、私の所に辿り着く患者さんが相当数いらっしゃいます。
過去の既往歴をお聴きすると、過去に診察を受けた医師たちの感想を述べられます。
その中で多いのが、質問しても答えてくれない、あるいは無視されてしまったと嘆かれるのです。

患者さんの多くが関連痛や関連症状で苦しまれてきた方々です。一般的な簡単な検査で異常が認められないので、気のせい、ストレスの原因と診断されてしまうのです。そして患者さんが色々と質問されても、答えてくれない、無視されてしまうのです。

医師とは、専門的な医学知識を患者さんに教えるのが、職業です。自分の蓄えた知識を言いたくて話したくて教えたくて仕方がない人間の筈です。その人間が答えられないのは、単に知らない、分からないからです。そんな医師にいつまでも頼りにしないで、さっさと切り捨てるべきです。

医師の盲点は、一般的な検査を幾つか行えば原因が見つかるだろうと安易に考えている事です。病気の原因は、その原因は、あらかじめ予想して、その原因だけを見つけるための検査をしなければ、見つけることが出来ません。

例えば、排尿障害が原因の関連痛で苦しんでいる患者さんをウロフロメトリー尿流曲線測定を実施しても、残尿測定を実施しても、正常所見の人が結構います。でも、エコー検査の所見では、排尿障害による膀胱や前立腺の形態学的な異常を必ず認めます。
その場合は、次のように考えます。つまり、1つの原因で症状は出るが、代表的な検査では異常所見が出ないこともあるのです。排尿障害があるのだが、尿流曲線や残尿測定にまでは、異常が出ていないのです。しかし、体のセンサーは異常を察知して症状を作ったと考えるのです。ですから、あらかじめ原因の的をしぼって検査するしか方法はないのです。

また、最近では前立腺ガンで悩まれる患者さんが多く訪れます。中には、明らかに前立腺ガンを認めるのに、針生検を実施しなければ、「これ以上、当院では治療出来ません!」と宣告するのです。私に言わせると、針生検で前立腺ガンの組織像を確定診断しなくても、治療や予後にほとんど問題ないのです。例えば、心筋梗塞のリスクの高い患者さんや平均寿命をはるかに超えた高齢者の場合は、一般的には針生検なしで治療を行います。そのような宣告をして患者さんを苦しめる態度の医師は、ニセ医者です。


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コメント

「そんなはずはない」
今の症状をありのままに言っているだけなのにこのように言われてしまっては弱い立場の患者はどう返せばいいのでしょう。
ある時はとても感じが良い医師...でもご自分では手に追えなければ結局「精神的なものですね」。
今後これらの医師に遭遇したら今回の高橋先生のブログをサッと出し「これ見て下さい!」と言えたらどんなにスッキリするでしょう。
高橋先生のような医師がひとりでも多くなる事を心から願います。
★回答
私も含めて無知な医師はたくさんいます。
医師という職業についた以上、常に勉強です。
本を読むばかりでなく、自分の頭をフルに使って努力・考えなければなりません。

投稿: さらさ | 2017/12/13 11:42

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