1日40回の頻尿 間質性膀胱炎と診断されたご婦人
毎日40回の頻尿と痛みで悩まれているご婦人が訪問されました。
大学病院で、精密検査の結果、間質性膀胱炎と診断されたのです。薬を処方されましたが、全く改善せず、大学病院の主治医に無理を言って紹介状を書いてもらい、当院に来院したのです。
エコー検査の所見を観てみましょう。
❶膀胱括約筋が、膀胱出口ではなく、尿道括約筋の方向に向いています。排尿障害により、膀胱括約筋の位置が変わってしまったのです。
❷結果、膀胱のセンサーである膀胱三角部が厚くなっています。頻尿も当然でしょう。
❸尿管間ヒダ(膀胱三角部の最後部)が著名に盛り上がっています。センサーの異常を示唆します。
また、尿管間ヒダの後ろに見える膀胱粘膜が凸凹しています。肉柱形成で慢性的な排尿障害による膀胱粘膜の変化です。
❹正面から観察した所見では、尿道の傍らに結石が認められます。排尿障害による石灰沈着と考えられます。男性の慢性前立腺炎でしばしば認められる前立腺結石と同じです。ご婦人では数少ない現象です。
❺❺' 膀胱出口周囲に静脈血管の拡張を認めます。いわゆる静脈瘤・瘀血所見です。排尿時の膀胱出口への慢性的な繰り返す圧力が強いために起きる現象です。
以上の事から、排尿障害による膀胱出口周囲の形態異常と判断できます。長年に渡り排尿障害によって膀胱に負荷がかかり、膀胱が過敏になり、それが間質性膀胱炎として診断されたのでしょう。
治療としては、
♯1膀胱出口の緊張を緩めるαブロッカーの投与
♯2膀胱三角部の緊張を緩めるβ3刺激剤の投与
♯3関連痛に対してトラムセットの投与
になります。この治療で改善が得られなければ、内視鏡手術で、膀胱三角部を蒸散手術することになります。
保存的治療で軽快すれば良いのですが、……。
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