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誤解の弊害

Img_0785❶糖尿病
血糖を下げれば良いと思われる常識ですが、私はインスリンを10年以上もマメに血糖を正常範囲内に抑えて来ました。
ところが、気がつかない内に血糖が下がり過ぎ腎機能は悪くなり、結局、腎不全になってしまいました。改めてインスリンを調べてみると、インスリンの開発した当初は、インスリン注射した患者さんの1年~2年以内に腎機能障害が出現したと言う報告がありました。つまり、インスリンは血糖をコントロール出来ますが、腎毒性を持っている可能性があったのです。
おそらく、短期間で出現する腎毒性を軽減した改良型の薬剤が、現在使用されているのでしょう。それでも、10年、20年と使用されると、腎毒性が発揮される可能性があったのです。インスリンの消費量が増えれば増える程、慢性腎不全・透析患者さんが増えるだけです。

Img_0787❷コレステロール
ウサギの実験で、エサの中にコレステロールを含ませて、ウサギに食べさせると、ウサギの動脈にコレステロールが付着して動脈硬化になりました。その実験結果で、動脈硬化の原因は食事のコレステロールという常識となりました。
ところが、ところがです……草食動物のウサギがコレステロールを食べる訳がありませんし、食べるような身体でもありません。現在では、食事中のコレステロールは動脈硬化と無関係と言われています。

Img_0786❸血管年齢
巷では、血管年齢若くしましょうと力説してマスコミで有名な代替医療の医師がいます。
その医師が自分の外見を披露して、血管年齢が若返ると、こんなに若返るんだと言わんばかりの態度です。
ところが、血管年齢の若い人の多くがガン家系の方です。逆に、このような方々をもっと血管年齢を若返らせると、癌になり易くなるのです。その証拠にコレステロールを下げる治療を行うと、癌の患者さんが増えるという文献があります。コレステロールを下げる治療は、動脈硬化を予防します。その結果、さらに血管年齢が若返り癌が誘発されるのでしょう。

Img_0663❹前立腺ガン
前立腺に対して、積極的に簡単で可能な針生検が泌尿器科学会の指導で行われています。
その理由は、前立腺ガンの人が増えているからだと根拠にしています。
しかし、増えた原因は、PSA検査が開発され、さらに健康診断・検診・人間ドックに採用されたために、前立腺ガンを疑われ、ワンパターン・ルーチンで針生検されるからです。さらに、針生検で刺激された悪性度の高いグリソンスコア8・9・10に火が付いて、 5年生存率が30%、10年生存率が20%まで低下するのです。

Img_0788❺インフルエンザ
患者さんの中に、「今年の風邪は治りにくいですね?」とおっしゃる方が、毎年数人おります。「インフルエンザではないのですか?」と尋ねると、インフルエンザの検査をしたら、陰性だったと答えるのです。
冬のインフルエンザが流行している時期に、発熱があり全身倦怠感と節々が痛ければ、必ずインフルエンザです。ところが、検査、検査、検査とワンパターンの凝り固まった頭の医師は、検査結果が陰性だと、インフルエンザと診断しないで風邪と誤診するのです。検査と言うものは、陽性で初めて信頼出来るのですが、陰性の場合は信頼度が極端に低くなるのです。インフルエンザ検査は、診断率80%と公表していますが、実際は、70%くらいです。最近の医師は、患者さんを診ないで検査だけに依存するので、このような弊害が出るのです。医師は、検査結果が陰性であっても、五感をフルに使って診断するべきです。

E7bf1a27d317405c9f03de15f54c000d❻風邪
厚労省が風邪の患者さんに抗生剤や抗菌剤を処方しないようにと通達しました。理由は、風邪のウィルスに抗生剤・抗菌剤が効かないからです。
これは、短絡的な発想です。風邪に対する人体の免疫反応は、二段階あります。初めは顆粒球免疫反応、次がリンパ球免疫反応です。顆粒球免疫は、免疫抗体(リンパ球免疫)が活動しやすいような「場」を作るのが仕事です。つまり、喉に炎症を作るのです。顆粒球が喉に集合して、喉の常在菌に攻撃をかけるのです。ところが、ほどほどの攻撃であれば問題ないのですが、顆粒球が興奮し過ぎると、極端な攻撃になり、結果、咽頭蜂窩織炎、肺炎、髄膜炎になるのです。抗生剤・抗菌剤を短期間に少量処方すれば、このような合併症を避けることができます。これまで、開業医は風邪の患者さんに抗生剤・抗菌剤を処方して来ました。おかげで、風邪の患者さんで肺炎を起こすことは稀でした。

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