鼻先で笑われた!
現在通院しているご婦人のエピソードです。原因不明の痛みで苦しみ当院を受診しました。
たまたま健康診断で、病歴や現在服用しているお薬を健診医師に説明する場面に遭遇したそうです。その際に、私が工夫して処方したお薬を説明したそうです。その時に「フン😏」と鼻先で笑われたそうです。恐らく、『こんな意味のない薬で医師に騙されて…フッ😏』『心の病だろう…フッ😏』と医師は思ったのでしょう?「鼻先で笑う」と言う言葉は知っていましたが、まさか本当にあるんだ!と思い患者さんはビックリしたのと、逆に怒りを覚えたそうです。無知な医師ほど、己れの知識が完璧だ!と天狗に思っているのです。
この患者さんは、排尿障害による膀胱三角部の過敏による痛み・頻尿・むず痒さが主な症状でした。
超音波エコー検査で、膀胱括約筋①が偏向しています。本来なら膀胱出口②に向かっていなければなりません。排尿障害のため膀胱括約筋が引っ張られ偏向したのです。そのため、膀胱三角部③が肥厚しています。圧力センサーである膀胱三角部が厚くなればなる程、内部圧力が高まり刺激を受けやすく、それが症状を作るのです。これらは全て排尿障害による変形です。
ウロフロメトリー尿流曲線では、尿の勢いが低下しています。正常であれば、平均速度20ml毎秒のはずが、最高速度が10ml毎秒を超える程度です。
通常は、膀胱出口の緊張を緩めるαブロッカー(エブランチル)と、膀胱三角部の興奮を抑えるベタニスの併用服用で症状は軽快するのですが、この患者さんは、なかなか手強い方でした。そのため、薬の処方をワンパターンではなく、いろいろ工夫しました。
まず、排尿障害の治療薬は、男性用の前立腺肥大症の薬がたくさんのあります。本来の薬理作用から考えれば、男女無関係に処方してもよいのですが、保険適応では無理です。そこで、……。
ベタニスの効き目が今いちだったので、これまた、薬をイロイロと変えました。
それでも、完全には症状が取り切れないので、磁気治療器に定期的に受けてもらっています。
さらに、症状を作っているのが、膀胱三角部の平滑筋ですから、平滑筋の興奮を抑える治療薬を工夫しました。
❶サプリメントの大豆イソフラボンは、平滑筋の興奮を抑えます。
❷市販薬の正露丸も平滑筋の興奮を抑えます。
❸自然の睡眠薬であるアミノ酸のグリシンは、膀胱を支配する神経節の興奮を抑えます。
❹胃潰瘍の薬であるタガメットも免疫作用で修復修正作用が期待できます。
現在の患者さんの症状は、一番辛い時100%から比べると10%~20%まで症状が落ち着いています。
以上のように、根拠があって薬剤やサプリメントを勧めているのです。その根拠も考えもせず、狭い教科書的な最低限の世界しか知らないくせに、鼻先で笑うような医師にはなりたくないものです。
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