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統計の問題点

このブログをお読みになれば、お分かりのように、私は、こんな患者さんがいました、こんな症例がありましたと、ただひたすらダラダラと書き綴っています。

私のこの方法は、学問的には全く評価に値しないことです。学問的には、相当数の数を集めて、統計的判断を行う事が評価の対象になります。しかし、そこには研究者の特定の意志が隠れています。本来ならば、たくさんのデータから客観的に考察・判断しなければなりません。それが科学です。ところが、多くの研究者が、偏向した主観的な自分勝手の考えに沿ったデータ収集を行い、自分の考えに一致した統計結果を創り出します。その研究者の考えが正しければ、問題はありませんが、そうでなかった場合、それを読んだ一般の人々は間違った情報に騙されてしまうのです。

自分の経験・体験した症例を無秩序に報告するうちに、自分の意図や考えに無関係に自然と見えてくることがあります。その中に真実,真理があるのだと思います。

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私のブログでたびたび掲載しているグラフです。
このデータを収集し研究して報告した研究者は、悪性度の高い前立腺ガンは、こんなにも生存率を低くするんだから、早期に発見して治療しなければならないと言いたいのでしょう。
研究者の言われるままであれば、確かにそうでしょう。
しかし、見ようによっては、この研究者が針生検をしてしまったために、患者さんの死期を早めてしまったようにも見えます。


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この表は、ヨーロッパPSA検診大規模研究の生データです。
このデータから、PSA検診を実施した人のグループの方が、前立腺ガンで死亡する確率が有意に低いという結論です。この文献を基に、日本の泌尿器科学会は、50歳以上からPSA検診を積極的にすべきだとアピールしているのです。
この研究者たちは、PSA検診の有用性を示す意図で、この研究を実施したのでしょう。しかし、データをよ〜く観察すると、50歳〜54歳グループと、70歳以上の2つのグループは、PSA検診を実施したグループの方が、死亡率が高いのです。しかし、50歳〜54歳と70歳以上のグループの母数が他のグループに比較して少ないので、このグループのデータは、削除されたのです。そして、PSA検診は、50歳以上から実施した方が良いと結論付けているのです。いくら統計学的判断とは言え、この論文の結果は、科学とは言えません。データを優先するのであれば、55歳から69歳まではPSA検診を実施しましょうと言うべきです。

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コメント

蒼国来関、再入幕おめでとうございます。
初場所は両国なので沢山の応援があると思います。
大森医師会の方々の期待も大きいと思います。
何としても8勝してほしいと思っています。
【回答】
本当にそう思います。

投稿: 京都在住 | 2017/12/27 08:26

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