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口実

Img_0656「PSA値が高いから針生検しましょう」と強要されるのは、見方を変えれば、前立腺ガンをエサに何が何でも見つけ出して、積極的な治療に持っていく「口実」に思えてなりません。1回の針生検で見つからなければ、その後も何回も針生検を行うのが通例です。泌尿器科医師にとっての営業活動の1つに見えます。ある意味、患者さんの肉体に負担をかける事で利益を上げているようにも思えます。

針生検によって前立腺は傷だらけになります。通常、6本〜12本以上刺すわけですから、生体は傷ついた場所を修復するために懸命に努力します。顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、線維芽細胞などが総動員されます。その傷ついた組織の中に前立腺ガンが含まれる事があります。傷ついた前立腺ガン細胞は、マスト細胞で食べられ、周辺は顆粒球で攻撃されます。残っている癌細胞は、これらの攻撃に対抗できる武器を持ち合わせていません。唯一、細胞分裂を繰り返す事で、細胞の数を増やし続け対抗します。

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ここで問題が出現するのです。
各臓器の細胞は、骨髄の幹細胞から供給されるモノサイトによって作られます。肝臓に到着したモノサイトは肝細胞になる肝母細胞に、腎臓に到着したモノサイトは腎細胞になる腎母細胞になります。
癌細胞は、骨髄からモノサイトが供給されませんから、増えるためには細胞分裂するしか方法がありません。正常で健常な細胞が分裂する時と違って、全く同じ細胞がコピーされることがありません。遺伝子情報を含んだ染色体もバラバラで数もマチマチです。染色体がバラバラだと、中には細胞をコントロールする染色体が消滅することがあります。つまり悪性度が増すのです。癌細胞の悪性度を増すキッカケを作ったのが針生検になるのです。
このグラフで分かるように、針生検をキッカケに生存率が急激に低下します。

「PSA値が高いから針生検をしましょう」という口実は、もしかすると悪魔の死神の囁きかも知れませんね。
【PSA値高い→前立腺ガンの疑い?→針生検で発見!→早期発見!→治療の選択→患者さんに有益だ!】という理論展開に一見、非の打ち所がないように思えます。
しかし、私の見えるこの理論のトラップは、次の項目です。
❶悪性度の低い癌細胞は、寿命に影響しない!
❷色々な理由でPSA値は高くなる!
❸針生検で癌細胞の悪性度が増す!
❹早期発見が重要なのは、ステージⅢ〜Ⅳだけ!
❺以前の針生検の後遺症で、前立腺ガンとは無関係にPSA値は高くなる!
これらの項目を全て否定する事が出来るのであれば、私は自分の考えを引込めましょう。

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