女性になっても慢性前立腺炎?
一年前から頻尿が時々出現していた40代の女性です。
その後、陰部がムズムズしたり、熱く痛い感じ、さらには肛門も重く熱い感じが出現しました。
インターネットで病気を調べているうちに、慢性前立腺炎では?と思うようになったのです。そこで、当院を受診しました。写真は前立腺を側面から観察した所見です。
女性なのに男性の「前立腺?」とお思いでしょう。
実は、この女性は、元は男性で性同一性障害で苦しんだ末に性転換手術・性別適合手術を行い、戸籍も女性になったのでした。しかし、その手術の際に前立腺は手付かずだったので、今では、それを悔やまれていました。エコーは、膀胱括約筋を拡大像です。鉛筆のように先が細くなるのですが、この写真ではホウキのように広がっています。排尿障害の所見です。
膀胱出口の拡大像です。出口付近が白く光っています。膀胱頚部硬化症の所見です。
膀胱三角部が厚くなっていて、膀胱刺激症状や関連症状(ムズムズ感)を連想させます。
前立腺前面部では、石灰と静脈(黒い丸)が見えます。これも排尿障害の所見です。
性器や睾丸を除去して女性ホルモンを月に2回注射しても、膀胱や前立腺の症状は取れません。仮に前立腺を手術しても、膀胱三角部の過敏症が本質ですから、場合によっては、慢性前立腺炎症状が出現したかもしれませんね。逆に、前立腺が残っていたからこそ、慢性前立腺炎と考えて病気を見つけることが出来たと考えれば、ラッキーだったかもしれません。
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