脳下垂体の疲労と寿命
人間の複雑な生命生体現象をコントロールしているのが、脳です。
脳の付属品として脳下垂体という部分があります。
脳の出力部品の一部としての機能があります。
脳の出力手段で、よく知られているのが電気信号の神経回路です。
もう1つの出力手段が化学物質のホルモンです。
では、どのようなホルモンのコントロールをするのでしょうか?
脳下垂体の構造は、前葉と後葉に分けることが出来ます。
【前葉のホルモン】
❶卵巣、精巣(睾丸)
刺激ホルモン 卵巣・精巣を刺激して卵巣の卵胞ホルモンと、精巣の男性ホルモンの分泌を促します。
❷筋肉刺激ホルモン➡︎成長ホルモン
筋肉や骨の成長を促します。また、肝臓の糖代謝と脂肪代謝を促進させます。
❸乳腺刺激ホルモン➡︎プロラクチン
乳腺(オッパイ)を刺激して、発達させ乳汁(お乳)の分泌を促します。
❹副腎皮質刺激ホルモン➡︎ACTH
副腎皮質を刺激して、ステロイドホルモンの分泌を促します。
ステロイドホルモンは、3種類のホルモン(電解質代謝、糖代謝、男性ホルモン代謝)が分泌されて、影響を与えます。
❺甲状腺刺激ホルモン
甲状腺を刺激して活動的な状態にします。
【後葉のホルモン】
❶腎臓刺激ホルモン➡︎抗利尿ホルモン(バソプレシン)
腎臓が尿を作り過ぎるのを抑えます。
❷子宮刺激ホルモン➡︎オキシトシン(喜びホルモン)
子宮を活発化させます。
❸乳腺刺激ホルモン➡︎オキシトシン(喜びホルモン)
乳腺の血行を活性化します。
その昔、昭和の初期の日本人平均寿命は50歳に届きませんでした。そして、死因の上位に老衰が入っていました。50歳で老衰?は意味が分かりませんよね。この脳下垂体の機能を理解すれば、うなずけます。
45歳を過ぎると、男性も女性も更年期を迎えます。更年期は、男性の場合は睾丸が衰え、女性の場合には卵巣が衰えるのです。その結果、男性ホルモンも女性ホルモンも低下して、肉体は悲鳴をあげます。これでは行けないと、体はホルモンの増産を図ります。その司令塔が脳下垂体なのです。ホルモンの原料はコレステロールですから、脳下垂体が肝臓にコレステロールの増産を命令します。しかし、コレステロールの原料である動物性脂質や動物性コレステロールの食糧事情の悪かった昭和初期では口に入りません。肝臓はコレステロールを作ろうとしても作れないのです。その訳の分からない脳下垂体は、必死になって毎日毎日命令を出し続けます。しかし、脳下垂体も生物の部品ですから、だんだん疲れて来て疲弊します。5年も経過すると脳下垂体全体がダメになり、上記の刺激ホルモンが全部出せなくなり、全身のホルモンのコントロールが出来なくなり、結果、全身衰弱を起こして「老衰」になるのです。
戦後、欧米の食文化が入ってきて、肉食が普通になり、動物性脂質・コレステロールがたくさん摂るようになりました。そのおかげで45歳になっても、脳下垂体の命令通りにコレステロールを作ることが出来ます。脳下垂体も疲弊せずに、更年期になっても正常なホルモン・コントロールが継続出来るようになったので、長生きするようになったのです。更年期になってからのコレステロールが高くなるのは当然です。
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