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人工呼吸 口から口へ

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突然に心肺停止の状態の人に遭遇したら、何も考えずに心臓マッサージと人工呼吸の処置をしなければなりません。
一般の人が、そのような現場に出くわすことは、まずありませんが、遭遇した場合には積極的に実施する必要があります。イラストの状況は、アンビューバッグ(Ambu Bag)で人工呼吸している様子です。
ちなみに、ドイツのAmbu社が、このバッグを初めて販売したので、この名前が今でも残っているのです。

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しかし、呼吸が停止している人に遭遇した時に、常にアンビューバッグがあるとは限りません。とっさに口から口への人工呼吸をするしかありません。出来れば、気管内挿管か人工呼吸マスクがあれば、そちらを選択したいのですが、何もない状況であればマウスtoマウスの人工呼吸法は止むを得ません。

私は研修医のころに半年間麻酔科に在籍していましたから、人工呼吸は容易にできます。しかし、道具がないところではマウスtoマウスは仕方がありません。私は今までに3回体験しています。

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❶大学病院で前期レジデントの頃です。
午後3時ころの病棟にいました。病棟の仕事もひと段落して医局に帰ろうとした時です。個室に入院していた末期がんの患者さんのご家族が、突然私を呼び止めました。「主人が呼吸していない!」と言うのです。急いで病室に入ると心肺停止状態です。それまでは急変するような状態ではなかったので、病室に緊急セットが置いていません。医師としてとっさのマウス・ツー・マウスは勇気がいることです。なぜなら患者さんに感染症があれば、口移しで感染するリスクがあるからです。しかし、緊急時には、そんなことは言っていられません。身を挺して処置しなければならないのです。看護婦さんを呼んで緊急セットが届くまで、患者さんご家族の前で、何もしないでジッと見つめている訳にもいきません。患者さんのアゴを持ち上げ鼻の穴をつまみ、マウス・ツー・マウスの人工呼吸を始めました。遅れて他の医師たちと看護婦が集合しました。気管内挿管と緊急処置を行いましたが、残念ながら蘇生は出来ませんでした。
❷開業医になってからのエピソードです。
70台の男性で前立腺肥大症の術前の麻酔の際に、仙骨神経ブロックの麻酔薬が仙骨腔内の静脈へ漏出したらしく、意識が落ち呼吸停止してしまったのです。アンビュー・バッグで人工呼吸しましたが、入りが悪いので、マウス・ツー・マウスに切り替え人工呼吸を施しました。すると、息を吹き返し意識も戻り、無事に生還しました。もちろん手術は中止して、後日無事に手術は成功しました。
❸30代の術後出血の患者さんです。
間質性膀胱炎の手術を実施し、術後経過が良かった患者さんです。ところが、手術後2週間経過してから、突然出血を認めました。いわゆる術後晩期出血です。クリニックに来るまでに、長時間我慢したせいか、来院した時には膀胱内には血の塊のボールが出来上がっています。直ぐに内視鏡手術で止血手術を始めました。血の塊のボールを崩し除去して、内視鏡の視野を確保しました。出血部位を確認して電気メスで止血凝固している最中の時です。患者さんが気分が悪いと言った途端、意識がなくなり呼吸が停止してしまったのです。もともと小柄なきゃしゃな患者さんで、来院するまで大量の出血と、麻酔による血圧低下という条件が重なりショック状態になったのでしょう。アンビュー・バッグで人工呼吸するも変わりません。マウス・ツー・マウスに切り換えて数回の処置で息を吹き返しました。その後、手術は無事に終わり、輸血の必要があったので、地元の大学病院に緊急入院をさせ無事に退院しました。
お二人ともに、今も元気に年一回くらいの割合で顔を見せてくれます。

もしも、アンビュー・バッグや気管内挿管して人工呼吸しても、全く反応がない場合には、バッグで人工呼吸するのではなく、自分の呼気を使ってください。貴方の命の一部を分け与えたことで、かなりの確率で蘇生します。


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コメント

明日からのご入院いい結果が出るようにと京都から祈っています。
先日主治医から治療の方針を変えて生活の質を最優先しましょうと提案されました。
PSAは0.008以下でその他の血液検査も血糖値とHbA1cだけが高いのでホルモン注射の影響が考えられるので中止してみようとのことでした。
ただ決定はご自分が考えてくださいとのことでした。
今飲んでいるアボルブも他の薬にすることも選択肢の一つだと言うことでした。
前立腺は手術をすると転移の可能性が高くなり10年後の生存率は他の治療と全く変わらないそうです。
知り合いの京大の名誉教授が直接主治医に手紙を書いて相談してくださいました。
☪️回答
3ヶ月ほど中止して、問題なければ、あと3ヶ月中止して様子をみてはいかがでしょうか?
その後、再び治療を再開するという間欠治療です。
その間、PSA検査、触診、エコー検査でチェックするのです。
しかし、間欠治療は、まだ確立された治療法では、ありません。

投稿: 京都在住 | 2017/10/02 16:17

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