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顆粒球とインスリン

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私が救急病院に勤務していた頃、交通事故や作業中の事故で入院した人を毎日たくさん見て来ました。
私がアルバイトで当直医の時は、救急車で運び込まれた患者さんを取り敢えず救命し入院させて、昼間の常勤医にバトンタッチすれば良かったのです。その後の事は全く関知していませんでした。

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ところが、救急病院の常勤医になると立場は逆転しました。つまり、一命を授かった患者さんを、シッカリと治療し、元気に実社会に送り出す事が、常勤医の使命だったのです。

例えば、交通事故の内出血の場合、適正な輸血量を即座に判断しなければ患者さんは救命できません。骨盤骨折では2リットル、大腿骨折では1リットルの大量内出血がありますから、出血量に応じて緊急で輸血しなければなりません。採血して貧血を確認しても、外傷直後は血中水分が脱水を起こし、血液が見かけ上濃くなるので当てにならないのです。

さらに、外傷直後は、体内のインスリンが炎症環境に対して消費量が急激に増加するので、持病で糖尿病のある患者さんの場合、血糖が急激に上昇します。炎症の元である顆粒球がインスリンを大量に消費します。インスリンが不足すると、顆粒球が暴走して炎症のコントロールが出来なくなります。インスリン量を増やして注射しなければなりません。また、点滴内にインスリンを加えても、点滴のチューブにインスリンが吸着してしまい、必要なインスリンを投与できなくなるので、随時血糖をチェックしてインスリンをマメに皮下注射する必要があったのです。

以上のことは、大学病院の泌尿器科医師では、予想外の出来事でした。開業医になってから、いろいろな患者さんを診察します。糖尿病の患者さんが足の指(足趾)を怪我したら壊死を起こし、指の骨が見えている患者さんが来院しました。炎症にインスリンが必要だという事を思い出し、創傷軟膏にわずかなインスリンを混ぜて処置しました。すると、通院を重ねるごとに壊死創は治り、一見すると分からないくらいにきれいに皮膚が上がりました。インスリンの想定外の外用利用です。

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