ワセリンの秘密
前回、治癒力のテーマでワセリンについて解説しました。たかがワセリンとお思いでしょう?ここで、ワセリンが効く理由と秘密を解説していきます。
医療現場で使用している白色ワセリンは、一般の薬局にも、販売されています。ワセリンは、いろいろな軟膏を作るための軟膏基材として多様されています。
ワセリンは何から作られているかご存知ですか?・・・答えは石油が原料なのです。
アメリカで初めて油田が発掘されたのはペンシルベニア州です。それは1859年のこと。この油田には石油で新たなビジネスチャンスを得ようと全米から投資家が集まってくるようになりました。1870年、ここを訪れた科学者ロバート・ケスローは、石油の掘削機に付着していたゼリー状のものに着目して、それを精製してワセリンを作り、特許をとりました。ケスローは、このワセリンを、擦り傷、火傷、切り傷の軟膏として売り出しました。ワセリンは商品名です。
以上のように、ワセリンは石油精製由来の物質です。この石油精製のもっとも重要な技術が蒸留です。蒸留とは対象物に熱を加えることで沸点の低いものから順番に揮発する物質の性格を利用して物質を分ける技術ですが、蒸留すれば揮発するモノとその後残るモノに分かれます。ワセリンは、石油精製課程で残されたモノ、「残渣(ざんさ)」と呼ばれます。
残渣した物質は、沸点が高く重量が重い性質、また熱や気圧に対して比較的安定した物質です。
ワセリンはこの残渣をさらに精製して作られます。この精製精度ややり方によって「白色ワセリン」と「黄色ワセリン」になります。「白色ワセリン」は通常「黄色ワセリン」よりも精製精度が高く不純物が少ないとされます。
現在日本ではたんに「ワセリン」と言えば、通常「白色ワセリン」を指します。
ワセリンの刺激物質を除去したのが、眼科で使用されるプロペト軟膏です。
ワセリンの作用は、皮膚に保湿・湿潤効果があります。
傷の治療にワセリンを使用すると、傷が治るばかりでなく、ケロイドのできない綺麗な傷になります。これは、保湿・湿潤の効果ばかりだけでは説明するのには無理があります。これを説明するためには、ワセリンの精製法にヒントがあります。
ワセリンは、石油の原油を蒸溜し、LPガス、ジェット燃料、ガソリン、灯油、重油を抽出した後の残渣物を精製した物質です。石油は鉱物油ですが、現在の生物以前の太古の地球上で生息していた生物の死骸から滲み出た油脂なのです。この生物は、45億年前〜35億年前に生息していました。これらは生物は、私たちのように酸素呼吸するのではなく、鉄呼吸する生命体です。当時の地球には酸素はなく、今で言う有毒ガスと鉄を含んだスープのような海だったのです。その海の深海火山噴火口の周囲に初めての原初生命体が生まれたのです。
深海火山噴火口の環境は、200℃以上の高温、硫酸、アンモニア、有毒ガスなどの考えられない環境です。その環境の中で生まれた生命体は、酸素のない呼吸、鉄呼吸をして生命活動を行なっていました。今の生物とは比較できないほどの生命力です。見方を変えれば、毒の環境の中で平気で活動できる「毒生命体」だったのです。つまり、この毒生命体の死骸から滲み出た油脂が石油なのです。そのため、石油から抽出したジェット燃料もガソリンも人間の皮膚に付着したり、吸い込むとひどい炎症を起こします。大量に吸収されると死に至ることもあります。
傷にワセリンを塗ることで、ケロイドを作らず傷が綺麗に治るのは、ワセリンにわずかに残っている毒生命体の生命力が、傷の修復再生の過剰反応を抑えてくれるからです。
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