前立腺癌ステージ❶の心得
PSA値が高く、前立腺ガンを疑われ、針生検を勧められる患者さんが多く来院されます。触診と超音波エコー検査を実施しても前立腺ガンを確認できない患者さんがほとんどです。そのような患者さんは、前立腺ガンが存在しないか、ステージ❶以下だと言えます。
以前に週刊ポストのテーマについて解説しました。
受けてはいけない治療に前立腺ガンがありました。ステージ分類で調べると、ステージ❶~❸に関しては、経過観察も手術治療もほとんど有意差がありませんでした。
ステージ分類❶〜❹は、泌尿器科学会の分類A〜Dと同じです。
ステージA(ステージ❶)は、触診でも超音波エコー検査でも分かりません。
ステージB〜D(ステージ❷〜❹)は、触診でも超音波エコー検査でも容易に判別できます。したがって、当院に来院して、触診でも超音波エコー検査でも前立腺ガンが証明されない場合には、前立腺ガンが存在しないか、存在したとしてもステージA(❶)であることが分かります。すなわち、針生検の必要はなく、安心して半年〜1年毎の定期検査を受ければいいのです。
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通常、前立腺ガンの倍加速度(前立腺ガンの体積が2倍になる時間)は、速いもので2年、遅いもので20年以上と言われていますから、1年毎の定期検査でも、大きくならず発見できないかも知れません。
5年生存率から考えれば、ステージ❶の人は、少なくても5年間は問題なく生れるという事です。
当院に来院して、前立腺ガンが認められない場合、ステージ❶以下という事ですから、前立腺ガンについて心配する必要は全くありません。
逆に、癌の存在を確かめるために針生検することは、前立腺ガンを刺激することですから避けた方が良いでしょう。
この表は、癌研が発表したステージ別5年生存率です。手術した方が、5年生存率は優位に良いと思われます。しかし手術をしないグループは、全く何もしていなかった訳ではありません。前立腺針生検を全員実施しています。つまり、前立腺に10〜20ヶ所も傷つけて前立腺ガンを刺激しているのです。ガンを刺激しておいて何もしなければ、前立腺ガンは悪化してもおかしくはありません。それが前立腺ガン5年生存率の有意差になるのでしょう。この統計では不明ですが、グリソンスコアという悪性度は論じられていません。悪性度の高い癌を刺激すれば、手術しないグループが5年生存率の悪くなるのは当然でしょう。
針生検をしないで、ステージ❶以下と診断された人は、気にせずに、人生を充分にエンジョイ❤️してください。
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