高血圧ワクチン
定期的に送られて来る医療雑誌に、「高血圧ワクチン」が開発途上だとの記載がありました。
大阪大学の研究グループが、米国心臓協会が発行する高血圧症の専門誌ハイパーテンションのオンライン版へ、2015年5月26日に報告しました。今年になって、ワクチンの臨床試験(治験)は大阪大学の研究チームとバイオベンチャー企業のアンジェスMGが2017年からオーストラリアで開始すると発表しました。
ワクチンの仕組みは高血圧ホルモンに作用すると言うものです。研究グループが開発したのは「DNAワクチン」と呼ばれるタイプで、アンジオテンシン2という血圧を上げるホルモンに作用する薬です。
今現在、使われているアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)や、ACE阻害薬という薬が、そのホルモンに作用する薬剤です。開発中に高血圧ワクチンは、アンジオテンシン2を無力化してしまおうという発想です。
作用機序は次の通りです。
❶抗原となるタンパク質を入れる
❷免疫システムがタンパク質を異物として認識
❸抗体がタンパク質を攻撃して無力化
実は、このタンパク質がアンギオテンシン2で、B型肝炎ウィルスの無害な部品をアンギオテンシン2と結合させ、免疫システムに異物と認識させる偽装工作的方法です。
具体的には次の通りです。
(B型肝炎ウィルスの部品➕アンジオテンシン2)=偽装工作的異物タンパク質➡︎体内で増殖➡︎免疫システムが異物と認知➡︎アンジオテンシン2を異物タンパク質として認識➡︎抗体を産生➡︎アンジオテンシン2➕抗体➡︎血圧ホルモン作用が無力化‼️➡︎血圧の低下‼️
実験結果は、次の通りです。
「高血圧ワクチンを高血圧ラットに2週間隔で3回、無針注射器を使って接種。
その結果、最長6カ月間血圧の低下が認められた。」
このワクチンが実現したら、降圧剤としては革新的な成果と考えられます。
★たった3回の注射で降圧剤の効果が6か月以上持続する。
★既存のARBやACE阻害薬より薬価が低く抑えることができる。
この方法で癌ワクチンが作成できるかも知れません。癌の原発巣を切除して、その特徴的なタンパク質とウイルスとを結合して、癌患者さんに注射するのです。免疫システムが、その特徴的なタンパク質に反応して抗体を作り、転移した癌細胞を攻撃するという方法です。
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