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患者さんは、特に、痛みや不快感の毎日続く慢性疾患をお持ちの患者さんは、心に全く余裕がない状態で来院されます。それまでに診断と治療を繰り返しても、症状が治りません。多くの医師からは、「治らない病気」と診断されたり、「気のせい」と冷たく断言されて心が追い込まれてしまうのです。

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そんな患者さんに、診察・検査の結果を説明し、原因と症状が出る仕組みを解説すると、患者さんの目が次第にウルウルし、最後にはシクシクと泣き出してしまうのです。
大声で泣かれたら私が診察室で患者さんをまるで泣かしたように思われてしまいます。さいわい患者さんはシクシクと泣かれるのでホッとです。
私のモットーは、母校の『病気を診ずして、病人を診よ!』ですから、その精神に基づいて、過去の診断は無視して、色メガネで患者さんを診察しないように努力しています。病院を転々とすると、『この患者さんは精神的に病んでいるんだ』と先入観で診察してしまうからです。
患者さんは、長い間、自分の訴えを聞いてもらえず、初めて認められたという気持ちで感情が溢れて涙となるのです。
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大学病院のように混雑し、医師も患者さんを診るばかりか、様々な用事を同時にこなさなければなりません。また、医師が電子カルテ画面のデータに釘づけで、患者さんをほとんど見ていないのです。私の方は、手書きのカルテで、データを貼ったりとてもアナログ的ですから、雑用がなく心の余裕があるので出来ることでしょう。私もメチャメチャ忙しければ、真逆になっていたかも知れません。
心に余裕のない医師が、心に余裕のない患者さんを診ることは出来ません。患者さんを単なる対象物として処理されるだけでしょう。病人ではなく、病気として処理されるのです。

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コメント

高橋先生の前で始めて涙こぼれた時、
高橋先生は驚くでもなく呆れるでもなく
押すでもなく引くでもない、そんな目で
私を見ていらっしゃいました。

ようやく辿り着けたという安心感と、これからまた新たな闘いが始まるんだろうな…と、思った事を記憶しています。

まだまだ闘いは続くのでしょう。

高橋先生、宜しくお願いします。
☪️回答
はい。

投稿: | 2017/08/29 20:07

朝、目が覚めると
「あぁ、また尿意と痛みの一日が始まったんだなあ。」
と、絶望から始まり、しかしもっと絶望なのは
それに期限が見えない事。

職を失い収入が減り一体何をいきがいに生きて行けば良いのか?

生きるとはなんでこんなに辛いのか?

自暴自棄になる日も多々あって一体、何度、高橋先生の前で涙こぼれた事でしょう。

何も仰らず、ただただ静かに見つめる高橋先生。

「僕の考えについてくれば最後は何とかなると思うよ。」

高橋先生、私はやっぱりまだまだ人生を諦めるわけにはいかず……

高橋先生のお考えについていきます。

誰かの涙を受けとめるとは、そういう事か……と、
身に染みました。

どうも、ありがとうございます。

投稿: | 2017/08/30 13:16

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