データ記録と病気の推移
私は慢性腎不全になり、3年前から日々のデータを毎日記録しています。
体重、血圧、血糖、排便の有無、主な食事内容、腹膜透析の廃液量、血液透析前後の体重変化、血液データなど多岐にわたるデータです。最初の頃はエクセルに清書しながら記録していました。その記録を主治医に毎月提出していました。これらデータを観察することで、病気の進行を回避できるヒントが得られるかも知れないと、淡い気持ちで常に記録していました。
しかし、どんなに詳細にデータを記録しても、そこから分かることは何もなく、ただひたすら自分の体調が良くも悪くも推移しているのを傍観しているだけでした。データを取れば、物事の本質が見えてくるというのは、目標を決めた実験だけです。私たち医師は理科系の人間ですから、データを取れば何でも分かると誤解しているのです。臨床現場は、目的を持った実験現場ではないですから、理科系の常識が通用しません。
過活動膀胱などの頻尿の患者さんに、排尿日誌を付けるように指導する専門医がいます。泌尿器科学会でも排尿日誌の記録を推奨しています。病気の原因も追求せずに、患者さんの 「心の問題」が病気の主な原因と思って実施しているだけです。患者さんにとっては、何の役にも立ちません。患者さんに、頻尿をただひたすら「自覚」させるだけです。精神科医ならともかく、外科医である泌尿器科医師が何をやっているんだ!と私は思います。排尿日誌を付けている方は、1週間付ければ十分です。
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