高齢者の転倒
高齢者が歩行中に、チョットした段差や平坦な道でも転倒することがあります。理由は前に出した足の返しが悪く、すり足状態で歩くからです。高齢のため足腰の筋力も衰え、そのような歩き方になるのです。そして、歩行重心も歩行する前方ではなく、後方にあるため、前にも後ろにも転びやすいのです。若い人は足の感覚が鋭敏で、例え段差があっても一瞬にして対処できるのです。
正しい歩き方として、前方の足はかかとから着地すること、後方の足は足の親指を蹴り上げるようにと指導されています。しかし、高齢者に若者と同じ歩き方は酷です。
もっと理解しやすい方法として、後ろで見ている人に、自分の足の裏が見えるように歩けばいいのです。そうすることで、前に蹴り上げる足が、自然とかかとから着地するようになります。
高齢者になると歩幅が狭くなります。無理に歩幅広くして歩くと、高齢者には疲れる歩き方になります。そのためには、ナンバ歩きがお勧めです。オリンピックの日本人選手が、ナンバ走りで好成績を出したことで、「ナンバ」という呼称は有名です。
ナンバ歩きは、古来の人間の歩き方です。現代の歩き方は、明治初頭に富国強兵目的で小学生の頃から西洋風の軍隊行進の歩き方になったのです。腰骨と肩が左右交互に替わるので、1人の人間の歩くに必要な活動空間範囲が狭く、行軍の密度が高くなります。ナンバ歩きは大袈裟に歩けば、右足が前に出る時には右手が、左足が前に出る時には、左手が出るという歩き方になります。人が緊張すると、思わずナンバ歩きになって、周囲から失笑されたりする、あの歩き方です。ナンバ歩きは、本能の歩き方になります。相撲のテッポウと同じ歩き方です。右手が出れば右足が前に出る、左手が出れば左足が前に出るという歩き方になります。日本の武道、剣道、柔道、弓道も皆同じ所作です。竹馬も同じです。東山の金さんの御出座(ごしゅつざ〜)の際に長袴(ながばかま)姿の歩き方です。
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