薄い影❹
仕事柄、私には命の濃さを観ることが出来ます。
この能力は、私が訓練して身に付けたものではなく、自然に偶然に発見判明した能力です。
患者さんだけではなく、日常生活の中でも感じたこともありました。
一人は、ある事件で殺害された若い女性です。面識があった時に、とても「白く」感じたのでした。その半年後のニュースを見て、その異様さを思い出しました。このエピソードをきっかけに自分の能力を自覚しました。
二人目は、ロス疑惑で収監されていく容疑者のニュース映像を見た時です。『影が薄いな?』と感じた翌日に、その容疑者は留置所で自殺してしまいました。
三人目は、臨床治験でクリニックに出入りしていた治験コーディネーターの女性です。初めて紹介された時に、「白い」女性だなという印象でした。一緒に2年近くお仕事していましたが、若いのに子宮癌の全身転移で亡くなられました。
ところが、その後、私は両目の白内障手術をしました。私の両目には人工のレンズ、アクリル製のレンズが挿入されています。人工の目になった訳ですから、私の持っていたこの能力はなくなったと思うのは当然でしょう。
平成23年の10月に小学校の同窓会が行われ参加しました。
久しぶりに会ってみんな大騒ぎです。その時に友人の一人が少し変わって見えました。黒い印象の筈だった友人が、今は白い印象に感じるのです。しばらく会ってはいなかったので、変わったのね?としか思いませんでした。
翌年の平成24年7月に還暦の同窓会が行われました。
その際に驚くことがありました。前述の白く見えた友人が元に戻っているのです。その場では不思議に感じていましたが、その友人から重大発表がありました。
昨年の10月の同窓会の後に、健康診断で大腸癌が発見されたとのこと!その大腸癌もかなり進行していたが、優れた医師に出会えて奇跡的に手術は成功したとのこと。しかし、現在、大腸癌が肝臓に転移しており、今後の治療を待っているという発表でした。
この発表を聞いて、私は再発見をしました。『私の人工の目は、今でもあの能力を失っていないのだ!』と。そして友人に顔色が良いから大丈夫だと励ましました。もちろん薄い影が元に戻ったとは言えませんでしたが、少なくとも、友人が今後受けるであろう治療によって、彼の寿命は尽きないであろうと予知したのです。
平成25年の10月に恒例の同窓会が開かれました。
先の友人は黒いままです。『ほっ』です。友人によると、昨年の8月、つまり同窓会のあった7月の翌月に肝臓部分切除手術を行い、癌転移部分を除去したとのことでした。つまり治療経過は良好であるとのことです。この3年間の事を友人に正直に話しました。もちろん彼は半信半疑でした。
悔やまれていることは、親友の死を予見できなかったことです。
その年の4月に盛岡の泌尿器科学会で10分ほど立ち話をして別れ、その1月後に脳卒中で他界しました。色黒の男だったのですが、何故気付けなかったのか悔やまれます。気づけば、人間ドックや精密検査などの忠告が出来たのに😭・・・。
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