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免疫治療

多数の医療施設で癌の免疫治療が注目を浴びています。しかし、そのほとんどが、高額の自費治療です。ワンセット・ワンクールの治療が終了するまでに何百万円も掛かると言います。
そこで免疫治療について大雑把に解説してみましょう。

免疫治療に活躍するメンバーは次の通りです。
Img_0209❶樹状細胞(じゅじょうさいぼう)
突起(樹状突起)のある細胞です。樹状細胞は、異物を自分の中に取り込み、その異物の特徴(抗原)を他の免疫細胞に伝える働きをします。
異物➡︎樹状細胞➡情報➡免疫細胞➡異物を攻撃

❷マクロファージ
マクロファージは貪食細胞です。異物を発見し、自分の中に取り込んで消化(貪食)します。また一部のマクロファージは、異物の特徴 (抗原)を細胞表面に出すことで、外敵の存在を他の免疫細胞に伝えます。そのほか、他の免疫細胞と共同で、免疫細胞を活性化させるサイトカインという物質産生にも関与します。
異物➡︎マクロファージ➡︎貪食➡︎情報➡︎免疫細胞➡︎異物を攻撃

Img_0210❸T細胞
ウィルスなどに感染した細胞を見つけて排除します。T細胞は、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞の3種類があり、それぞれ司令塔、殺し屋、幕引きの役割があります。
★キラーT細胞
樹状細胞から情報を受け取り、ウィルスに感染した細胞やがん細胞にとりつき排除する、という「殺し屋」の働きを持っています。
樹状細胞➡︎情報➡︎キラーT細胞➡︎異物を攻撃
★ヘルパーT細胞
樹状細胞やマクロファージから異物の情報を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生して、攻撃の戦略をたてて指令を出す「司令塔」です。
樹状細胞・マクロファージ➡︎情報➡︎ヘルパーT細胞➡︎サイトカイン➡︎キラーT細胞➡︎異物を攻撃
★制御性T細胞
正常細胞にも過剰な攻撃をしないように、キラーT細胞の働きを抑制したり、免疫反応を終了に導いたり、という「幕引き」の働きを持っています。
異物を攻撃➡︎制御性T細胞➡︎キラーT細胞➡︎抑制作用
Img_0211❹B細胞(形質細胞)
B細胞は、抗体を産生する免疫細胞です。造血幹細胞から作られ、樹状細胞の指令を受けると、形質細胞の変身して外敵や異物だけを攻撃する抗体を作り、異物の排除を手助けします。
情報➡︎B細胞➡︎形質細胞➡︎抗体➡︎異物を攻撃
❺NK(ナチュラルキラー)細胞
常にからだの中をパトロールしており、ウィルスに感染した細胞などを発見すると単独で攻撃をしかけます。T細胞とは異なり、他からの指示を必要とせず、一人で外敵や異物を攻撃できるため、「生まれつきの殺し屋」と呼ばれています。
異物➡︎NK細胞➡︎単独攻撃

さて、これら免疫メンバーは全員で協力して癌細胞と戦うのです。ところが、癌になってしまった患者さんの免疫システムは、本質的には崩壊してしまったと言えます。その理由はいろいろです。情報のし伝達がうまくいかない、樹状細胞やマクロファージが不完全、キラーT細胞が無能、NK細胞もだらしが無い等々です。そこで、免疫治療は、樹状細胞やマクロファージを癌細胞と一緒に培養して、その抗原性が認識させる、キラーT細胞やNK細胞を培養して増殖し、患者さんの体に戻してあげる等々の治療法が行われています。

ここまでは、素人でも思い付く事です。この程度の癌治療法では、恐らく歯が立たないでしょう。
しかし考えてもみてください。役に立たない司令官や無能な兵隊を幾ら増やしても、戦争には勝てません。こんな事に多額のお金💰💴を使うくらいなら、健康的な生活を行い、残りの人生を楽しく😂堪能した方が良いと私は思います。

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この状況を打開するためには、画期的な治療法が出現しない限り目的は達しないでしょう。
その画期的な治療法として、オプジーボという薬剤が脚光を浴びています。癌細胞が免疫T細胞の表面にある免疫制御装置を騙して、免疫細胞からの攻撃を防御しているので、癌細胞が増え続けられるのです。この免疫制御装置が騙されないようにブロックするのが、新薬オプジーボの働きです。
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保険適応の癌は、悪性黒色腫、肺癌、子宮癌、胃癌と限定されていますが、今後が楽しみです。ただし、保健適応があるのですが、薬価が高額で、一回の100mg点滴が74万円(3割負担で22万円)もします。

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コメント

最近ビタミンCの点滴の記事を見ましたが、あれは予防としては有力な選択肢なのでしょうか?
☪️回答
ビタミンCの大量摂取(1日5グラム以上)により、癌の5年生存率が上昇するという文献はありますが、高濃度ビタミンC点滴の効果は不明です。
私も前立腺癌のステージ❹の患者さんに高濃度ビタミンCを行いました。数ヶ月でPSA値は激減しましたが、一年後には元に戻ってしまいました。

投稿: サトウ | 2017/08/16 16:44

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