癌患者さんの見逃し
東京慈恵会医科大学附属病院で、平成26年までの6年間に合わせて5人の患者が、がんの疑いがあると診断されたにもかかわらず、主治医などが検査結果を見落とし、最も長い人で3年間治療が行われていなかったことがわかりました。このうち2人はその後がんで死亡していて、病院は患者や遺族に謝罪しました。【文面、写真はNHKニュースから抜粋】
私の母校で、先日、上記の会見が行われました。母校のゴシップでとても残念です。写真の3人のうち一人は私の同級生の教授で病院の副院長です。
母校だからという訳ではないですが、このような事件は大病院だからこそ起こるべくして起こるのです。何故かというと、大病院は専門職に細かく分かれ、自分の分野でない病気や検査は、それぞれ専門医に丸投げしてしまうからです。例えば、CT検査は、放射線技師が撮影して、出来た映像を放射線医師が読影し、そのレポートを依頼した診療科に報告するのです。この間、誰一人として患者さんそのものを診ずに、検査対象物としてただ見ているだけです。検査し読影して報告すれば、責任がなくなのです。
一人の主治医が毎日何十人もの患者さんを診察しています。その流れ作業の中で、見落とす可能性は高くなります。CT検査もMRI検査も超音波エコー検査もすべて専門家に依頼して結果をデーターとして見るだけです。つまり、血液検査データーの数字を眺めているのとさほど変わらない感覚です。専門家に任せたから、自分が読み解く必要がないと思ってしまうのです。本当は、主治医が検査の現場に行って直接観察するとか、あるいは、それぞれの検査室に半年間学内留学して、心身ともに検査を身につければ、他人事の検査とは思わなくなります。
今回の事をきっかけに、慈恵医大は検査報告書を印刷して患者さんにお渡しすることにしたそうです。ただ素人には検査結果を見ても、何が何だか分からないので、外来に検査結果をさらに詳しく解説するブースを設けています。
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