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嗅神経と海馬

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先日、テレビで、認知症の予防として、アロマの香りを利用することが紹介されていました。
認知症は、脳の深部に存在する「海馬」の萎縮が原因とされています。海馬を再生することは、なかなか出来ません。嗅神経も同様に萎縮しますが、アロマの香りの刺激で嗅神経は活性化し再生するのです。
嗅神経と海馬は連結していて、嗅神経が活性化すると、それに呼応して海馬も活性化・再生するのです。そんな不思議な事実が紹介されました。

認知症を理解するためには、脳組織の一部である海馬を理解しなければ分かりません。そこで海馬について調べてみました。
海馬は脳の深部中心部に位置し、記憶に深く関与しています。大脳皮質から入力された情報を海馬で一旦処理して、必要・不必要を分別します。必要な情報は、大脳皮質に送り返して永久保管します。これが長期記憶になります。海馬自身も一時的に情報を独自に保管することがあります。これが短期記憶です。

Img_0102認知症になると、この海馬が何らかの原因で委縮し崩壊します。(写真の赤丸枠認知症になると、この海馬が何らかの原因で委縮し崩壊します。(写真の赤丸枠の部分)すると、大脳皮質にある永久保管の長期記憶はいつでも引き出すことはできますが、海馬の崩壊により、大脳皮質に新たな記憶保管が出来なくなります。また、海馬自身に保管する短期記憶も出来なくなります。その結果、認知症では記銘力障害になります。すぐ直前のことを覚えていられなくなるのです。例えば、食事を食べたばっかりなのに、「食べていない!」と言い張ったりするようになる症状です。

認知症の患者さんの中には、嗅覚がなくなることがあります。つまり、嗅覚の元の嗅神経と海馬が連携している証拠です。また、嗅神経は刺激によって再生することが分かっているのです。もしかすると、嗅神経を刺激することで、海馬が再生するのでは?と思われますよね?その臨床試験を実施したところ、ピンポンだったのです。嗅覚を刺激して認知症が改善したのです。

Aromaその刺激に利用されるのが、アロマの香りです。そのための有効な香りが、《ローズマリー+レモン》と、《ラベンダー+オレンジ》の組み合わせだったのです。
ローズマリー+は、昼間嗅ぐ香りで、ラベンダー+は就寝前に嗅ぐ香りです。
アロマの製造会社はたくさんあり、アマゾンや楽天で各社一斉に販売しています。

では、嗅神経と海馬が、何故そのように連携するのでしょうか?私は次のように考えます。
❶脊椎動物にとって、嗅覚は自分の身を守るレーダーとしての重要な役目があります。弱肉強食の世界にあっては、強い動物の匂いは、弱い動物にとって素早く察知しなければならない命を守るための重要な感覚なのです。ですから、嗅覚・嗅神経は再生可能な神経になるのです。

❷また、ほとんどの哺乳動物は、匂いに関連して状況を記憶します。例えば、犬は樹木や電信柱の匂いを嗅ぐことによって、他の犬の存在やテリトリーを察知します。厳しい環境の世界を生きるためには必要な感覚です。嗅覚によって記憶する訳ですから、海馬と結びつくことも、容易に想像できます。

Img_0247❸さらに、嗅覚や嗅神経は、食べる時に必要な感覚です。鼻をつまんで食事をすることで分かるように、味覚が10分の1以下になります。すなわち、嗅覚は食につながる味覚に、無くてはならない感覚なのです。つまり、人間にとって生きて行くのに最低限必要な感覚です。
以上❶❷❸のことから、生命の本能は、嗅覚・嗅神経に再生能力を持たしたのです。老化して嗅覚が衰えても、刺激があれば、直ぐに再生させてくれるのです。

結果、その嗅神経と連結している海馬は、自らも活性化して嗅神経を再生させるのです。その活性化のおかげで、海馬自身も再生するのです。まさに、瓢箪から駒(ひょうたんからこま)のことわざの通りです。認知症で萎縮した海馬が再生するのは面白い生理作用ですね。

嗅神経のように、海馬に直接連結していませんが、視神経や聴神経は間接的に海馬に繋がっています。そのため、目が充分に見えなかったり、耳が聞こえなかったりすると、高齢者の場合、頭がボンヤリしてしまいます。これも、視神経や聴神経による入力がなくなると、海馬が衰えてしまうのでしょう。目が悪くなったり、難聴になったりした場合は、積極的に目を治療し、補聴器で良く聞こえるようにすれば、頭はハッキリします。

海馬の衰えを感じている私も、アロマを購入して実践します。将来の認知症予防にと思います。


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コメント

先生
アロマは精油をたくタイプと蒸気で出すタイプ 香りだけのタイプいろいろありますがそれぞれ認知症に対する効果は変わらないのでしょうか?
【回答】
刺激するということにおいては、同じでしょう。

投稿: 慢性前立腺炎 | 2017/07/04 12:12

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