ひとつの体に2人の貴方
患者さんの経過は人それぞれ様々です。
1つ2つ程度のお薬の処方で、劇的に改善する患者さんもいれば、何回お薬を変えてもなかなか改善しない患者さんもいます。劇的に改善する患者さんの方がはるかに多いのですが・・・。
なかなか改善しない患者さんをよ〜く観察すると、段々と見えてくることが分かりました。何しろ、開業医になって、この27年間で3万5千人以上の患者さんを診ていますから・・・。治療経過の特徴と患者さんの個性が相関しているのです。例えば、頑固な性格の患者さんは、経過も頑固です。クドクドとしつこい患者さんは、病状もしつこいのです。個性的な患者さんは、病状の起伏が激しくて個性的です。ネチネチとした人は、症状もネチネチです。
つまり、患者さんの病状は、その人の性格が反映しているのです。頑固な患者さんなのに病気は素直、しつこい性格なのに病気はサッパリとは考えられないのです。言い換えれば、1人の人間の体に、同じ性格の人間が2人存在していると考えるのです。病気に存在する人格が目覚めて、脳に存在するオリジナルの人格に自己主張していると考えるのです。
同じ人格の人間が闘っても、どちらも勝てません。延々と闘いは続き、互いに共倒れになるだけです。それを回避するには、お互いに折り合いをつけることです。患者さんにとっては、症状がわずかに残っていても、それは病気の人格が自己主張を抑えて折り合いをつけるように努力していると思ってあげるべきです。
ちなみに、このブログを書いている私は、頑固でしつこくて、何事もコツコツと実行し、他の人が思いつかない事をひらめく個性的発想の人間です。したがって、私の罹った慢性腎不全は、主治医が思いもよらない経過を取り、絶対に治らない病気です。私の個性を充分に反映しているのです。悲しい・・・。
この考えは、私オリジナルのものです。ですから、100%正しいとは限りません。でも、この考え方を利用しないと、自分の人生を否定してしまいます。
【イラスト:いらすとや フリー画像から】
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コメント
(医者って)「そんな事がスゴイ事なの?」
(医者って)「そんなに偉いの?」
私が勤務している病院の先生方の話をした時の高橋先生の
お言葉。
そう言えば高橋先生は手術の際
「僕なんて全然フツー。いたってフツー。
ここで静かにやるべき事をやっているだけ。
出来れば静かにやらせてもらいたいよ。
有名になる必要なんてあるの?
有名になってどうするの?」
と、仰っていらっしゃいました。
高橋先生は何度か「真剣勝負」とも言われ
私も私なりに真剣にこの病気と向き合ってきたつもりです。
先日の診察では私が多くを語らずとも高橋先生は
私の思考を解って下さり、
「真剣勝負」とは、こういう事か?と、私の胸に強く
響きました。
私は50年生きてきて高橋先生ほど謙虚な人を他に見たことがありません。
どっちが偉いわけでもなく、お互いがお互いの話から学んで行く。
高橋先生の生き方は、そう思えてなりません。
投稿: | 2017/07/29 12:41