手術後の排尿障害?
60代の男性患者さんが、他の病院で前立腺肥大症の手術を受けたにもかかわらず、以前よりオシッコの出が悪くなったと訴えています。
超音波エコー検査で確認すると、前立腺のある筈の部分が一見綺麗に切除されています。主治医の医師も「前立腺は皮一枚残して削ったから、そんなはずはない。」と取りあってくれないとのことでした。
この超音波エコー検査所見では、赤の矢印で示す部分が、前立腺肥大症のあったスペースです。確かに、そのような診断結果になっても不思議ではありません。
そこで、超音波エコー検査の見方を変えて、3Dで立体的に観察してみると、前立腺のあった空間が暗いスペースとして見えます。その奥に、シコリを発見しました。おそらく、このシコリが排尿障害の原因だったのでしょう。
取り敢えず、排尿障害の治療薬であるユリーフを処方したところ、症状は改善しました。しかし患者さんは、手術を強く希望されたので、手術を実施しました。
さて、手術の当日、内視鏡検査で観察すると、予想通り、前立腺尿道移行部に前立腺肥大症組織の削り残し、いわゆる残存腺腫が認められました。残存の腺腫が、排尿圧力で膀胱出口の通り道を塞ぐような動きをするのです。
この残存腺腫が術後の排尿障害の原因だったのです。
残存腺腫を改めて電気メスで削り除去しました。
写真でご覧のように、残存腺腫はきれいに取り除かれ、尿の通り道が確保されました。
手術をしても、前立腺肥大症の症状が取れないで悩まれている患者さんは、結構存在します。執刀した主治医の多くは、「前立腺肥大症は残っていないから、症状が取れないのは、気のせいか、歳のせい!」と診断するのです。こんな状況でお悩みの方は、ご相談ください。
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