帰ります!
私が2月14日に、緊急入院し、ICUで血液透析しながら、何とか命拾いしました。
ICUのベッドで動きの取れない私の姿を見てから、妻と娘は「自宅に帰ります」と主治医の女医さんに告げました。女医さんは、跳び上がって驚きました。ICU(集中治療室)に入室したということは、患者さんが死ぬか生きるかの瀬戸際の状態です。そのご主人を残して妻子が帰宅するのは、あり得ないと思ったのです。おそらく、この瀕死のご主人は見捨てられたと思ったのでしょう。
ところが、妻には妻の言い分があったのです。ICUで私の姿を見た妻は、『大丈夫!あの人は死なない!』と思いました。そして、これから本当に長丁場の入院だからと思い、帰宅して身体を休めようと考えたのです。
妻は、私と長い間生活を共にする内に、私の特有の「命の濃さ」の見える感覚を獲得していました。ベッドに寝ている私を一目見て、影が薄くない!大丈夫!と判断したのです。
妻が中学生の頃、仲良くしていた同級生のご自宅に遊びに行った時のお話しです。同級生のお父さんに挨拶しました。「!・・・病気?」以前から顔見知りのお父さんに異常な雰囲気を感じたのです。ところがその数日後、ご両親が崖から海に飛び降り自殺してしまったのです。実は他人の保証人になり、多額の借金のために悩んだ末の無理心中です。一人残された友だちの人生の苦労が、そこから始まりました。
私の奥さんには、そのような体験をして、さらに「変人」の私と寝食を共にしていますから、「命の濃さ」が何となく見えるのです。集中治療室の瀕死の私の姿を見ても、大丈夫と判断したのです。
後に、主治医の女医さんには、そのことをお話ししました。主治医は、自分の患者である私が集中治療室にいた一晩は、責任上泊まり込み眠れなかったらしく、翌日妻がお会いした時には、髪がボサボサだったそうです。
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