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OD錠

Img_0086最近の経口薬は、口腔内崩壊型のOD錠が主流になっています。
その昔、ハルナールカプセルが、ハルナールD錠という口腔内崩壊錠に変わりました。アステラス製薬の説明によると、OD錠はカプセルに比較して、吸収が早く、有効血中濃度が速やかに高くなるので、薬理学的に考えれば、薬剤の大きな進歩です。各社が次々にOD錠に変更しました。

Img_0074ところが、それまでハルナールカプセルを服用していた患者さんが、OD錠に変えてから薬の効果が落ちたとの相談が相次ぎました。有効血中濃度が速やかに上昇する訳ですから、薬理学的には考えにくいことです。
ここで、疑問を感じました。薬理作用を有効血中濃度だけで考えたのは、間違いではなかったのか?生体の生理学反応があっての薬理作用のはずです。吸収効率だけで議論するのは、本当に正しいのか?OD錠の急激な血中濃度の上昇が、生体の拒否反応あるいは防御反応を惹起させたのかもしれません。カプセルのように、血中濃度の上昇が緩やかであると、生体の拒否反応や防御反応が起きないのかもしれません。グラフで分かるように、速いと言っても、わずかな差です。

例えば、自動車はスピードが速ければ良いのは分かります。しかし、自動車の評価は、スピード以外にも、安全性、スタイル、内装、燃費、乗り心地など様々な評価対象があります。人によって、評価項目の重要性は異なります。ですから、有効血中濃度だけで薬理作用を重要視するのは、盲点です。

有効血中濃度に限らず、一部の事実だけが独り歩きしてしまうことは良くあることです。例えば、PSAの高値=前立腺ガン、慢性前立腺炎=細菌感染、間質性膀胱炎=原因不明の病気という常識が独り歩きしてしまうので、それによる被害者はたくさんあります。

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