自分にできる事
保育園と小学校、中学校と成績も平凡で運動神経もイマイチであった私は、率先して何かを行なったり、人前で話したり、意見を言える人間ではありませんでした。
当然、引っ込み思案で、とても内向的な性格でした。
高校二年生の時に、どういう訳か「やる気スイッチ」が入り、1学期の中間試験でトップになりました。そこで、『やれば出来るんだ!』という思いが根付きました。そのキッカケは、自分の長所は何だろうと思った時に、中学一年生の時から高校二年生まで日記を続けて書いていたことです。頭の回転は悪いが、ウサギとカメの寓話の亀のようにコツコツと同じ事を繰り返すことが私の長所だろうと思ったのです。
数学と化学と物理は、易しく詳細に記載してある参考書を購入し、端から端まで大声を出しながら理解できるまで何遍も何遍も読み、付属の問題集を何遍も何遍も解きました。英語も授業中に出てきた英単語と、古文の古語をコツコツとすべての暗記しました。世界史の授業は、担任の教師が黒板に文章で細かく書くので、その時のノートを一字一句すべての覚えました。その結果、全教科高得点を取り、世界史に至っては、100点満点で担当の教師に「私の試験で初めてだ」と褒められました。
しかし、単調な作業は長くは続かないもので、音読するのがだんだん大人気なく、気恥ずかしくて黙読するようになりました。また書いて覚えないようにもなりました。すると、理解力が落ち記憶力も低下してしまいました。当然、成績は落ち、そのまま浪人生活に突入したのです。
2年の浪人生活の末、何とか大学に入学し、その勢いで無事卒業し国家試験に合格して、晴れて医師になりました。その後は忙しさに考える暇もなく、医業に励み、やがて開業医になったのです。当初は総合診療科として開業していましたが、地もとでは、整形外科で人気が出てしまいました。患者さんが多い時で一日150人も来院しました。近所に何件かの整形外科はありましたが、当院のリハビリの器械が最新鋭のものばかりだったからでしょう。しかし、その内だんだんつまらなくなって来ました。別に私出なくても、リハビリの器械に魅力を感じて患者さんが集まるのだからと、思うようになったのです。
私は『整形外科医ではなく、泌尿器科専門医だ!』と次第に思うようになりました。しかし、住宅街の泌尿器科に患者さんが集まるとも思えません。ちょうど、インターネットでブログが流行り始めた時代だったので、見よう見まねでブログを書き始めました。私の長所は何事もコツコツでしたから、ブログの内容はともかく、ただひたすらに書き続けました。すると泌尿器科領域の病気で悩んでいる人が、全国に予想外の多いということが分かりました。おかげで、泌尿器科を求め全国から多くの患者さんが集まりました。
患者さんが多く集まると、今までに経験したことのない珍しい病気や症状にも遭遇しました。その結果、想像力が豊かになった気がします。なぜなら、病気に関して、次々にいろいろなことが思い浮かび、病気の本質に近づけたのです。過去のブログを読み返してみると、とても自分で書いたようには思えません。まるで、異次元の智慧の倉庫から、誰かが私のために知識を吸い出しているようです。私の長所は、「コツコツ続ける事」だけかと思っていましたが、一時的かも分かりませんが、私自身が「智慧の蛇口」という一面も兼ね備えているのかも知れません。ソロモンの叡智の秘宝と連絡している、この「蛇口」こそが、もう一つの私の長所かも知れません。
みなさんも、ご自分の長所をいくつか認識していますか?才能のない私の一見価値のなかった「コツコツ」程度の事であっても、いい意味で予想外に変貌することが分かりました。チョッとした才能があれば、どうかジックリ育ててください。きっと、大化けしますよ!
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コメント
私も一時期ブログをやっていましたが続きませんでした。
ブログを通じて同じ病気で悩む仲間は出来ましたが。
先生がこれだけ長くブログを続けていらっしゃる事は凄い事です。
投稿: ゴリ | 2017/05/09 19:43